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安倍首相コロンビア公式訪問から10年

2014年7月28日、安倍晋三氏が日本の首相として史上初めてコロンビア公式訪問の為首都ボゴタに降り立ってから10年が経ちました。安倍首相の3日間のコロンビア公式訪問は私にとり生涯忘れる事はない出来事です。
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この時私は安倍首相に随行した経団連会長の他企業使節団一行の受け入れ手配を一手に引き受けました。日本の政府専用機がコロンビアに降り立つ事自体が史上初めてであり当然前例というものがない中での受け入れ手配は相当のプレッシャーを感じ、失敗・失態は絶対許されないものでした。10年経った今でもよくあれだけの膨大な手配をこなしたものだと思っています。同じ事を次に出来るかと聞かれたら精神的・体力的にもう不可能だと思います。それほどまでに過酷を極めたものでした。

安倍首相が日本の首相として史上初めてコロンビアを公式訪問された詳しい経緯は存じ上げません。ただその数ヶ月前に中国国家主席が中南米各国・主に当時台頭を始めていた左派政権の国々を歴訪された事もあり、当時から親日国・中道政治を維持していたコロンビアを訪問する事の重要性を感じられていたのかもしれません。
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安倍首相のコロンビア公式訪問は大手新聞紙の一面を飾りました。当時親米国でもあったコロンビアにおいてアメリカ大統領の公式訪問以外で国の政治的トップの訪問が大手紙一面で取り上げられたのは異例であり、日本への関心の高さを感じました。また当時の安倍首相は既に世界のリーダーの一員としてコロンビアでも日本の首相と言えば「ABE」という名が知られていた事もあるでしょう。
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公式訪問2日目には日本・コロンビア首脳会談が開催され、両国間の友好・経済協力関係、特にEPA(経済連携協定)の早期締結を促す確認がされました。また分刻みのスケジュールの中で日本・コロンビア経済合同委員会も開催され、安倍首相コロンビア到着前から当地入りした相当数の日本企業各社のトップや幹部なども含め相当な数の方々が首都ボゴタに集まられました。現時点では後にも先にもこれだけの日本企業関係者の方々がコロンビアに集結された事はこの時の安倍首相公式訪問時以外なく、安倍氏の影響力の高さを改めて感じました。

あれから10年。現在の日本とコロンビアの関係は可もなく不可もなくと言った所でしょうか。現在のコロンビアは独立以来初のかなり極端な左派政権であり、ペトロ大統領は国家の経済的発展にはあまり関心がないように思われます。日本との関係も前政権以前の親密さは感じられないように思います。それはペトロ大統領就任から2年が経過した現在も日本へ大使を派遣していない事に表れており、現在は臨時代理大使がその任を2年続けられています。誤解のないよう申し上げますと私はその事について良い・悪いと評価するつもりは全くなく客観的事実のみ申し上げます。
また、安倍首相があの時早期締結を促したEPAについてその後交渉は途中で止まっていると認識しています。無関係の私はこの件について全く事情を把握していませんので、交渉はいずれ再開するのではと楽観的に思っています。
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日本・そして世界のリーダーとして日本の国益を真に考えられていた安倍首相のコロンビア公式訪問。3日間という期間でしたが前述の通り企業使節団の皆様の受け入れ手配に関して失敗・失態は絶対許されない極度のプレッシャーで精神的に潰れそうになりましたが何とか大任を務める事が出来ました。
こちらは27年のコロンビア生活の中で自分の行いが褒められた唯一の結果が当時の駐日コロンビア大使から頂いた感謝のレターです。
あとどれだけこの国にいるか、そんなに長くはないと思いますが頂いたこのレターを見るたびに不眠不休で臨んだあの3日間を思い出します。
間近で見た安倍首相の御姿、そして史上初めてコロンビアに飛来しコックピット上に日本・コロンビア両国旗を掲げた2機の政府専用機の姿は生涯決して忘れる事はありません。

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長引くインフレ、購買層の二極化が進むコロンビア

当地コロンビアも例外なく物価高の波に襲われています。8月の時点での年間インフレ率は年率換算で約8%程となっていて、ここ数年と比較すると2倍以上の数値です。実感としては食料品・日用品等は日々とは言いませんが買物をする度に微妙に値上がりが続いていて、特に輸入品の値上がり率が半端ではありません。品目によっては価格が日本で買う以上のものもあります。
当地通貨コロンビアペソも過去最安値を記録しており、このような状況下で消費・購買動向の二極化がはっきりしてきています。富裕層・高額所得者・国外に資産を持つ人達などはインフレに影響されない生活が持続出来ていますが、国外に資産を持たない中産~下層階級は高いインフレ率により日々の生活が厳しさを増す一方です。そんな中、購買層がはっきりしている「スーパーマーケット」を例に、国内展開している5つのチェーン形式スーパーをご紹介します。
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(Tiendas D1 / ターゲット購買層・下~中)
コロナ禍以降急速に店舗数拡大を続け2022年に国内全土で2,000店出店を達成したディスカウントストアです。陳列・販売している食品・日用品等全商品の90%以上が他のスーパーでは販売していない独自ブランド・事実上のプライベートブランド(以降PBと表示)という驚異的な品揃えです。PB商品ばかりを販売している事で同じような品物でも国内に流通させているメーカー品と比較して数十パーセントから半額近い安さが特筆されます。それが故、特に低所得~中産階級の購買層には圧倒的支持を得ています。
私自身、最初は見た事もないPB品ばかりで「安かろう悪かろう」という先入観があったのですが、実際買ってみるとパスタはイタリア産の低グレード品と変わらず国内製造のパスタよりははるかに味が良く、ハム・パン・ケチャップその他多くの食品なども有名メーカーの品と比較してそん色ないか、品目によってはPB品にも関わらず質が良いものもあります。その為、私の昨今の買物の殆どはこのD1で行っています。
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(Tiendas ara / ターゲット購買層・下~中)
店舗数は前述のD1ほど多くありませんが、やはりコロンビア国内全土に店舗を展開させているディスカウントストアです。販売商品は約80%程度がやはり他のスーパーでは見かけないPB品(D1にも卸していません)で、若干ながら国内メーカーの品々も販売しています。品揃え的にはD1とほぼ似たような感じで、店内でローストチキンやパンなどを調理・販売している点がD1とは異なります。PB品自体の質もD1で販売しているものと比較してそん色ありません。ケチャップやマヨネーズなどはD1を強く意識しているものと思われ、低価格で購入出来るのが有難いです。
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(exito / ターゲット購買層・中~上)
コロンビア第二の都市メデジンの本社を置く二大大手スーパーのうちの一つです。EXITOは首都ボゴタの他各地で売場面積が広い大型店舗を展開し、その他住宅街などには小規模店舗形式のexito expressを展開しています。exitoは「econo」という名で自社PB品も製造販売しています。
前述のディスカウントストアが台頭するまでこのexitoは大型スーパーの中では販売品が若干割安の為多くの消費者を取り込んでいました。現在の常連購買層はおそらく中産階級から高所得者層に絞られてきている筈です。私自身がこのexitoで買物をするのは他のスーパーで取り扱っていない品目・若しくは欠品で手に入らないものを購入する場合に限定しています。
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(Carulla / ターゲット購買層・中~上)
exitoと並ぶ国内二大大手スーパーです。売場面積が中規模のCarullaと住宅街などで小規模店舗形式で展開しているCarulla Expressで構成されています。このCarullaの店舗は中産~上流階級の人達が居住している地区にのみ限定されていて、いわゆる中の下以下の所得層が住む地区には全くありません。それだけ購買層を絞っています。事実、Carullaは数十年前に高級スーパーPomonaを買収してから高級路線に転換しており、店内もお洒落な感じがします。その為特に富裕層の間では「自分はCarullaでしか買物はしない」と断言する人もいる程です。
Carullaも自社PB品を製造販売しています。その他は全てどのスーパーでも見かける品目を取り扱っており、同じ品目でも他のスーパーと比較して割高です。それでも購買する人がいるのはやはり富裕層などの特別な層をターゲットにしている為でしょう。
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(OLIMPICA / ターゲット購買層・中~中の上)
こちらのOLIMPICAもコロンビア国内全土に店舗を展開している老舗大手スーパーです。各店舗に共通するのは前述のexitoやCarullaと比較すると店内の雰囲気に高級感が欠け、コロナ禍以前は「庶民向け大手スーパー」の位置付けでした。事実、国内メーカー品の価格を比較すると、前述の二大スーパーと比較して同じ物なのにOLIMPICAの方が安いケースが多々あり、逆に言えば二大スーパーがどれだけ利ザヤを取っているかが分かってしまいます。このOLIMPICAも自社名を冠したPB品を販売しています。私は食用油などでこのOLIMPICAのPB品を時々購入する事があります。

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試されるコロンビア国政史上初の次期左派政権

今回は画像なしで投稿します。
既にご存知の通り、先の選挙でグスタボ・ペトロ候補が勝利しコロンビア国政史上初の左派政権が誕生する事になりました。これは国内外で驚きをもって受け止められています。選挙結果を受け経済市場は敏感に反応し為替レートは一気にコロンビアペソ安、株式市場も新政権下で影響を受けると見られる銘柄は軒並み相当幅の下落となりました。ご祝儀相場とは真逆・つまり「失望売り」という事でしょう。

長い歴史の中で史上初の左派政権、すなわちコロンビアは独立以来一貫して中道に近い政策を取ってきました。これは殆ど知られていませんが、治安が悪いとされるコロンビア、実は国家財政的には安定していて独立以来一度も財政面で国家破綻を経験しておらず、現在の一ドルあたり約4,000ペソという単位は一度もハイパーインフレを経験していない中で長い年月を経て今日の単位に至っています。通貨単位切り下げや名称変更を経験していないのは私が知る限り南米ではコロンビアとチリの二カ国のみです。

ペトロ新政権によりこれからの4年間どう「変革」するのか、国内外から注目を集めるのは間違いないでしょう。その中で世界中の左派政権にほぼ共通しているのが「弱者救済」「経済格差是正」の謳い文句です。これは見事なまでに一致しており、今回の選挙ではペトロ候補は主として中産階級以下の所得層・そして投票権を持つ若者からの支持を得ました。この層はピラミッドで言えば中間から底辺を構成しており、すなわち数が多いという訳です。

そしてこれも特に中南米各国に共通しているのが、現在まで左派政権が歴史的成功を収め国家が飛躍的に発展した事例が殆どなく、現在のペルーやチリのように民衆が選んだ左派系大統領にも関わらず就任数ヶ月で支持率が激減、過去の例では罷免・失脚・クーデター・亡命等の末路をたどった指導者が実に多い事です。ペトロ新大統領もかつて首都ボゴタ市長時代にゴミ収集事業で首都を大混乱に陥れた「職務怠慢」を理由に行政監督長官から罷免された事があります(後に罷免無効・職務復帰)
私はペトロ新大統領がボゴタ市長をしていた時(2012-2015年)を知っています。この時はペトロ氏の独断(民間業者排除・事業を一方的に自身が指名した一社に公社化)に怒ったゴミ処理業者各社がボイコットを起こし首都のあらゆる場所で収集されないゴミが山積みとなり、市民の怒りは相当なものでした。その結果ペトロ氏は自身で決めた事の撤回に追い込まれ、果ては政府の監督機関トップから罷免された次第です。ボゴタに住んでいる若者たちはあの時のペトロ氏の市長としての手腕を知りません。
左派政権の特徴として他にはベネズエラやニカラグアのような「独裁政権」にも至っています。私に言わせれば左派指導者に投票した人達は「変革」「貧困からの脱却」を成し遂げてくれるものと思って票を投じたのではないですかと問いたいです。

前述の「弱者救済」「貧困格差是正」の為に国家資金を投入する事自体は何ら異議はありません。重要なのは世界中の左派政権の殆どが掲げる「富裕層への課税強化・締め付け」「内需重視」「貿易協定の見直し」「国家間同盟の見直し」などをする事で経済が停滞した場合、弱者救済・格差是正する為の財源をどのように確保するかです。この事を抜きにして「富める者は悪」と位置付けるのが左派政権お決まりのパターンです。

今回の選挙戦で特筆されるのが、敗れた中道・若しくは右派の支持者達は応援した候補が敗れた事で結果を拒否する暴動を一切起こさなかった事です。ペトロ新大統領は近隣左派政権との連帯、軍・警察の一部解体や縮小を公約に掲げていました。
昨年、増税法案提出を機に国内で発生した大規模抗議行動は死者を出す大惨事になりました。その中で機動隊(ESMAD)の鎮圧行動により命を落とした人々の関係者は「殺された」と訴えていますが、そもそも暴力・破壊行為を伴う抗議行動を起こしたのは左派の人々です。そのような行動の為に争乱の場にいなければ命を落とす事はありませんでした。今回の決選投票でも明らかになった通り、左派の人々は不満があればデモなどの「実力・直接抗議行動」を起こし、右派の人々は暴力には出ず言論で反対するか若しくは甘んじて結果を受け入れる(全ての事例ではありませんが)という対照的な二面性です。

今回の決選投票結果を受けてパスポートの申請が一気に増え、手持ち資産を国外に移す(=ペソ安)目に見える反応が象徴的です。私自身はこのコロンビアにおいて大統領を選ぶ投票権を持っていないのでペトロ新大統領について直接的に支持・不支持の意見を述べる事は出来ません。これからの4年間で「劇的な変革」が公約通り実現されるのか注視します。
ちなみに私はペトロ新大統領が昔ゲリラ組織のメンバーだった、新副大統領が初の黒人系という事には関心がありません。政策重視・注視の立場です。

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コロンビア国立コーヒー生産者連合会(FNC)新総裁にベレス前駐日大使選出

コロンビアと言えばコーヒー、皆さんはそう思い浮かぶでしょう。全国50万人以上に及ぶコーヒー生産者の業界団体であるコロンビア国立コーヒー生産者連合会(FNC)のコロンビア国内での影響力は昔も今も絶大です。

そのFNCの新総裁につい先日まで駐日コロンビア大使を努められていたロベルト・ベレス氏が代議員選挙により選出されました。ベレス新総裁は知日・親日派であり、日本語が堪能な方です。詳しい記事は下記を御参照下さい。

FNCの新総裁にロベルト・ベレス氏が就任

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私が初めてベレス氏にお目にかかったのは、先年に日本からコーヒー業界関係者の方々がコロンビアを訪問された際に受け入れアテンドをするにあたり、その数カ月前に一時帰国の折、FNC東京事務局内で関係者の方々で打ち合わせをしたのですが、その際に事務局長だったのがベレス氏でした。

その後にベレス氏はFNC本部営業本部長まで歴任された後にFNCを去られました。暫くご無沙汰していましたが、昨年駐日コロンビア大使として着任された際には心底驚きました。それだけでもビックリでしたが、今度は古巣FNCのトップ・コロンビアコーヒー関係者の代表である総裁に就任され、大変喜ばしいニュースに接しました。

昨年の駐日コロンビア大使就任直後、ベレス氏にとって大仕事だったのは何と言っても安倍首相のコロンビア公式訪問でしょう。この折、私も随分久しぶりにボゴタでベレス氏に会う機会がありました。

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あれからもう一年経ったので「時効」でしょうかね。この時弊社ANDES TOURSは首相随行団のうち経済界の方々の受け入れ手配を一手に引き受け、コロンビア公式訪問を無事終わらせた努力を評価して頂き、ベレス駐日大使(当時)よりいわゆる「感謝状」を頂きました。日本でもこのようなものは受け取った事がないのに、コロンビアでの仕事に対して感謝状を頂き、これは私にとっての「宝物」です。

そのベレス氏はこれからコロンビアコーヒー業界トップとして更に活躍される事でしょう。私も何らかの形でまたベレス新総裁とお付き合いが出来れば光栄です。

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安倍首相、コロンビアを公式訪問

前回の投稿から大分間が開き、ご心配された読者の方もいらっしゃいました。実はこの間、ものすごいプレッシャーに押し潰されそうでした 終わってみればこれも思い出の一つです。

7月28日から30日まで、中南米を歴訪された安倍首相が現職首相としては史上初めてコロンビアを公式訪問されました。今回の安倍首相のコロンビア公式訪問最大の目的は、現在交渉が進められているEPA(経済連携協定)の妥結加速へ向けてのサントス大統領との直接交渉の他、特に経済面でのコロンビアとの関係強化が目的でした。

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いざ安倍首相が当地へ到着されると大手新聞各紙が一面で報じるなど、やはり経済大国である日本のトップのコロンビア訪問はインパクトがありました。

左は政府専用機二機がボゴタ空港に駐機している姿を一面で報じた経済新聞紙です。B747ジャンボ、それも二機連ねて「ドーン」とやって来た日本のトップの印象は強かったようです。今から二年前には韓国大統領も同じジャンボ機一機でコロンビアを公式訪問しましたが、今回の安倍首相の訪問は当地での報道のされ方を含め、やはり格が違いました。

中画像はサントス・コロンビア大統領とのツーショットです。ひいき目かもしれませんが、大国のトップである安倍首相に余裕が見られます。

そして右画像はコロンビア国立コーヒー生産者連合会(FNC)本部での一コマです。当地最大手新聞紙の一面トップを飾りました。隣はコロンビアコーヒーの公式キャラクターである、コーヒー生産農家代表の「ファン・バルデス」氏と、メスのラバ「コンチータ」です。

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今回の公式訪問中、至近距離で安倍首相及び夫人に接する機会が何度となくありました。私自身が安倍首相ご夫妻に接したのは、2008年に日本・コロンビア外交樹立100周年を記念して特使として来訪されて以来でした。つまり安倍氏がコロンビアを訪問されたのは今回が実は「二度目」です。

首相として再訪された今回感じたのは、前回とは異なり何というか強い「オーラ」がありました。特に総理のお顔が前回と比較して精悍さが見られました。実際目の前で見ると、安倍首相は意外にも背の高い方で、一国のリーダーらしい感じを受けました。

総理夫人も今回は滞在中にコロンビアが世界に誇るバラやカーネーションなどの「切花」を集荷・加工する工場などを訪問され、こちらも大手新聞紙各社が報じていました。やはり大国の首脳ご夫妻ともなると、報道のされ方も明らかに異なりました。

私は今回の安倍首相訪問に際して、経済界を代表する方々のホテルや移動車両、そしてガイドの手配を承りました。日本語ガイドは今回臨時雇用で総勢9名体制、バスは大中合わせて5台に加えてバンやセダンも6台用意し、これを私一人で配車・配員管理していました。それだけだと大した話には思えませんが、二機の政府専用機がボゴタ空港へ到着してから最終日に飛び立つまで、今までの人生で一番すごいプレッシャーを感じていました。

総理一行のスケジュールはガチガチに決まっており、この間のミスで訪問日程に影響が出れば「死んでも死にきれない」それは大げさでも何でもなく、決してミスは許されない中での三日間はまさに「不眠不休」でした。もしも移動車両がエンストしたら、荷物配送用のトラックがエンストしたら・・・そんな余計な心配までしてしまい、本当に眠れませんでした。

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今回、空港とホテルの往復、そしてホテルから大統領府への移動で共に働いたバス達です。これらのバスは、サッカー・ワールドカップで日本が散々打ちのめされた「コロンビア代表チーム」御用達です。コロンビア代表チームが空港やスタジアムとの間を移動する際にも警察の護衛付きで赤信号は全て突破しますが、今回の使節団も同様でした。特に空港とホテルとの間は大型バス三台を連ねましたが、よくやってくれました。

それにしても、一国のトップが訪問する、この事で実に多くの方々が表裏の様々な場面に関与する事を身をもって実感しました。その数たるや半端ではありませんでした。数百人という単位です。今回、私もその一人として首相の歴史的なコロンビア訪問に立ち会えた事、そして無事自身の職務・手配を遂行出来、光栄というよりも心底ホッとしました。

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今回、私は幸運にも政府専用機の到着及び出発に際し、間近に接する事になりました。その場面はさすがにこの場で公表する事は控えます。その代わりにご褒美として頂いた政府専用機のパンフレットを掲載します。航空ファン・且つ身内にパイロットを持つ私にとり、二機の政府専用機を日本から遠く離れた当地コロンビアにて間近で見る事が出来、とても幸運でした。

二機のジャンボ機が離陸する際、居合わせた多数の方々と共に手を振って見送る機会もありました。一時はあまりのプレッシャーに押し潰されそうになった私への、ちょっとしたご褒美だったと思います。その場に居合わせた我々を含め多くの方々が、最後に「お疲れ様でした」とお互いを労いあいましたが、その言葉にとても重みがあった事は言うまでもありません。

今回の安倍首相のコロンビア公式訪問を機に、経済関係・そして私の関連では観光などでより多くの日本人の方々がコロンビアを訪れる事を期待しています。

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第8回日本・コロンビア経済合同委員会開催

先々週から断続的にお客様をお迎えしており、バタバタしていました。特に今週はアメリカ在住の日本人のお客様が複数、観光目的でのコロンビアご来訪という事で忙しくしています。かれこれ三週連続で週末も仕事で嬉しい悲鳴です。

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そんな中でしたが、11月18日に首都ボゴタにおいて「第8回日本・コロンビア経済合同委員会」が開催されました。これは現在日本とコロンビアの両国政府間で詰めの協議に入っている「EPA」(経済連携協定)に関連する、両国民間企業間の意見交換その他の場です。

私も旅行会社の人間として初めてこの委員会にほんの少しだけ関与させて頂きました。と言っても委員会に参加するような大それた話ではなく、旅行業としての本業に関する手配です。

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委員会には日本・コロンビア両国の主要企業代表の他、両国大使・更にカルデナス財務・公債大臣も講演に臨まれました。委員会の議題その他は私が事細かに説明する立場にありませんので割愛させて頂きます。

この委員会の直前には東京において日本・コロンビアEPA交渉第三回会合が行われました。概要は→こちらをご覧下さい。今回の合同委員会に出席された方々の中からも両国間のEPA早期批准を求める声が多数あったようです。

私の従兄弟は現在、農林水産省内にて10人で編成されている国際交渉官(大臣官房国際部)の一人として、世界各国との農林水産分野での交渉に臨んでいます。彼がコロンビアとのEPA農林水産分野の交渉官なのか本人に聞いた事はありませんが、いずれにしてもEPAは幅広い分野に及びます。

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こちらは「FNC」((コロンビア国立コーヒー生産者連合会)がコロンビア国内で製造・販売している「インスタントコーヒー」です。コロンビアと言えばコーヒー生産国として有名ですね。

日本に輸入されるものとしてのコーヒー関連品では、生豆は「無税」、そして画像のインスタントコーヒーには8.8%の関税がかかっています。EPA批准によりこれらがいわゆる自由貿易品として日本に入ってくる事でしょう。コロンビアを含む世界各国との農林水産分野でのEPA/FTA交渉の現状はこちらからご覧頂けます(転載許可を得る必要となった場合には削除します)

農林水産省・EPA/FTA交渉の現状

私は旅行業に従事する者としてこの分野にしか関心がなく、それ以外は全くの無知ですが、今回は異業種の観点からとても勉強になりました。

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JETRO(日本貿易振興機構)本部でコロンビア国営石油公社(ECOPETROL)プロジェクト説明会

来たる2月26日(火)にJETRO(日本貿易振興機構)本部において、コロンビア国営石油公社(ECOPETROL)幹部によるプロジェクト説明会が開催されます。

コロンビア国内では最近、次世代のエネルギー源となる可能性を持つ「シェールガス」「シェールオイル」大規模層の存在が報じられ、にわかに脚光を浴びています。

関係者の皆様、地下資源保有国・南米コロンビアの現状を知る機会です。是非ともご参加下さい。詳しくは下記サイトからご覧頂けます。

コロンビア国営石油公社(エコペトロール)プロジェクト説明会

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JETRO(日本貿易振興機構)主催・「中南米諸国の消費市場」セミナー

私が体調不良でブログ記事を書く余裕がなかった間に参加募集をしていた事でしたが、来る28日にJETRO(日本貿易振興機構)が主催するセミナー「中南米諸国の消費市場」が東京・港区のJETRO本部で開催されます。

このセミナーでは中南米各国のジェトロ事務所長がそれぞれの国の経済・投資事情などについて報告を行うもので、コロンビア事務所からは清水文裕所長が「コロンビアの最新経済事情と消費市場(仮)」と題して発表されます。詳しくは下記を御参照下さい。

「中南米諸国の消費市場」セミナー:ジェトロ中南米所長による現地報告

いずれの方々も各国において経済面から現地事情について日々情報収集・発信されているエキスパートです。「日本人の目から見たその国の投資・進出の可能性」という点では、各国の政府機関が直接発出する情報に加えて更に細かな視点で経済・市場状況を捉えています。

具体的な内容はこの場では御報告を割愛しますが、経済面では成長著しいコロンビアでは、昨年あたりからこの国を「成長市場」ととらえて、ビジネスチャンスをつかむべくご来訪される企業さんの数が増えてきています。当社ANDES TOURSではそのうちの何社かのご来訪アテンドをさせて頂いています。

今まで治安の悪さや遠いという理由で尻込みをされていた為に、コロンビアを含めた中南米という巨大な市場を「無視」してきた中で、昨今は中国や韓国などが大規模・且つ積極的な投資・事業展開を繰り広げています。「日本船団」は正直な所出遅れもいい所です。

JETROさんは昔も今も、経済面から見た中南米各国の事情を発信し続けています。その中でもコロンビアという国は昔から経済面では「堅実」で名を馳せている国です。

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コロンビアの「地下資源」をめぐる熱い話

皆さんが「コロンビアの地下資源」と聞いてすぐに思い出すのは、もしかして「エメラルド」でしょうか。確かにそうですね。

つい先日の事ですが、首都ボゴタから北に向かった現地のエメラルド鉱脈地帯で道路工事中の掘削場所から突然エメラルドの原石を含む岩石が多数地表に現れ、一獲千金を狙った地元民が押し寄せたとの事。中には時価数千万円にも及ぶ原石を掘り当てた人もいたとか。現在は警察により一帯は封鎖されているそうですが、コロンビアらしい話です。

コロンビアには実は他にも多数の地下資源が存在します。金・銀・銅・ニッケル・プラチナなどの他、石油・石炭などのエネルギー資源にも恵まれているのです。石炭に関しては、先日の話で日本の大手総合商社・伊藤忠商事が既存の鉱区において採掘された石炭の獲得権を得た事が日本でも報道されました。

この他、日本では「日本経済新聞」が小さく報じただけでしたが、つい先日の報道で将来のエネルギー資源として現在注目を浴びている「シェールオイル」「シェールガス」の開発権を、コロンビアにおいて一般入札すると発表されました。この「未来のエネルギー資源」が実際に開発・商業生産されれば、現在中東が大半を握っている原油市場の利権が今後大きく変わると言われています。下記にその記事をご紹介します。

日本経済新聞「コロンビアのシェールガス・石油大手が関心」

現在、シェールガス・シェールオイルの開発ではアメリカがリードし、鉱脈もアメリカが最大規模のようです。南米における鉱脈はコロンビアの他にブラジル・アルゼンチン・チリにあるようです。

Img_7166 こちらは首都ボゴタにあるECOPETROL(コロンビア石油公団)本社前での一コマです。ECOPETROLは近年まで政府が株式の100%を保有する「国営企業」でしたが約20%の株式を放出し、現在ではニューヨーク株式市場にも上場しています。

今回はこのECOPETROL訪問のコーディネートをしました(訪問団体名及び目的はこの場では公表を控えます)

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このECOPETROL・コロンビア石油公団は何故か「イグアナ」をイメージキャラクターに採用しています。何故イグアナなのか、それを複数の職員に聞くとどういう訳か「諸説」あるのです。曰く

☆イグアナの姿が恐竜に似ているから、その再現として採用した(石油は化石燃料であり・恐竜の死骸が石油に生まれ変わった可能性がある為)

☆コロンビア国内最大の製油所がある「バランカベルメハ(Barrancabermeja)」には多数のイグアナが生息し、ECOPETROLはイグアナと共に「共存」している

世界中探して「イメージキャラクター」を採用している石油公団(国)は珍しいのかもしれません。

ちなみに、コロンビア石油公団本社のすぐ近くには、何と「ECOPETROL直営売店」があるのです(本当)そこではイグアナのぬいぐるみや子供向けの「着ぐるみ」、キーホルダーやボールペン、傘や「ipadケース」その他多数の「ECOPETROLグッズ」を売っているのです。嘘だと思ったら、下記のサイトをご覧下さい。

LA TIENDA ECOPETROL・

それはさておき、コロンビアという国では実は「地下資源・地下エネルギー資源」を巡る熱い戦い(商売)が繰り広げられている事を、この日の訪問で実感しました。

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JETROビジネスミッション、コロンビア来訪

Img_3586 先週は、JETRO(日本貿易振興機構)ニューヨーク事務所企画・主催により、全米の主要日本企業の方々が「ビジネスミッション」として当地コロンビアを訪れました。

当社ANDES TOURSは今回のミッションのボゴタ・カルタヘナにおける全宿泊予約を承りました(受託手配・米国日通旅行)そして皆様はコロンビアご滞在中、問題なく日程をこなされて本日無事に当地を発たれました。

何しろ一行の総員は20名超に及び、目的が観光ではなくコロンビアへの進出・投資の可能性を直接自らの目で確かめて頂くというものですので、こちらも失態があってはいけないと、かなり緊張しました。

Img_3458 Img_3468 カルタヘナでは、一行より先回りして現地入りし、準備を万全に整えた上でお迎えしました。画像は夕暮れ時のカルタヘナへの着陸直前の光景です。観光ツアーに同行する際には午前中に現地入りする事が殆どですが、今回は珍しく夕暮れ時の到着となりました。この日は天気に恵まれ、特段揺れる事なく着陸しました。夕暮れ時のカルタヘナへの着陸は、日中とはまた違う美しい光景でした。

Img_3493 Img_3495 カルタヘナは湿気はあるもののあまり酷暑という暑さは感じませんでした。最近の首都ボゴタも好天が続いて多少暑い日々が続いていますので、気温差を感じなかったというのが正直な所です。

今回のミッションはコロンビアという国に対する投資・進出の可能性・将来性を、説明会や視察を通じて調査して頂くものでしたので、コロンビアという国にとって「重要なお客様」でもあった為、受け入れ側もとりわけ気を遣って頂いたようです。警備も完璧でした。

数年前まででしたら、投資・進出以前に「治安問題」のリスクが大きく、南米コロンビアに着目するなどとんでもないという雰囲気でした。しかしながら現在のコロンビアは違います。成長性・可能性に満ちた国です。皆様からお話を伺った際には、やはり「事前のイメージと現在の経済成長性の違いに驚いた」というご意見が殆どでした。

Img_3578 一行のコロンビア滞在最終日には、私にとり首都ボゴタで別途「きさらぎ祭」という当地在住日本人の方々が一堂に集うイベントがありましたが、その合間を縫って皆様のご出発を見届けさせて頂きました。

今回のビジネスミッションの方々の中には、早速次のコロンビアご訪問を決められた企業様が複数あり、ツアーとして一行の手配を受けられた当の米国日通旅行の社長氏もグループに帯同されていた事が分かり、ほんの少しだけお話をさせて頂く機会がありました。

今後コロンビアという国は、ビジネス・観光面において今まで以上の可能性を持って受け入れられるのではないかと思います。当社ANDES TOURS、そして私も微力ながら今回のビジネスミッションのコロンビアご滞在中のお世話が出来た事を、とても光栄に思います。

南米コロンビアへの御出張・観光の折には、是非ともANDES TOURSをご用命下さい。心よりお待ち致します。

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