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ナトリウム規制法(減塩法)によりコロンビアからレギュラー醤油が消滅

日本人にとってまず絶対的に欠かせない伝統調味料と言えば発酵食品である「醤油(しょうゆ)」「味噌」などが挙げられるでしょう。これらの品々のうち、醤油は日本に住んでいる方々であれば欠品の心配など考えた事もなく、まして家庭でご利用する分には大量に買い溜めをされた方などほぼ皆無に近いのではないかと思います。また、世界的にも醤油はSoy Sauce(スペイン語ではSalsa Soya)として広く認知されており、大抵の国では見かける品々です(味噌はなかなか難しいですが)しかしながらコロンビアではこの醤油(正確には塩分が多いレギュラー醤油)が市場から姿を消してしまい、当地において醤油を手に入れる事が不可能となりました。
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コロナ禍最中の2020年に国民の塩分摂取量低減を目的として決議された「ナトリウム規制法」いわゆる「減塩法」が2年の猶予期間を経て2022年11月から施行され、塩分が高いレギュラー醤油やオイスターソースなどの調味料の輸入・製造・販売が禁止、それに伴いスーパーなどの店頭から消滅しました。ボゴタ在留日本人の間でも昨年中盤から徐々に「日本の醤油を見かけなくなった」と噂されていましたが、この減塩法自体国民の間で広く公示されていた訳ではなく、レストランなど醤油が必需である関係者だけが知っていました。
減塩法は二段階あり、ナトリウム含有量により今回の第一段階で販売が禁止されたのがレギュラー醤油の他、オイスターソースや風味調味料(いわゆるだしの素)などの高塩分含有調味料です。第二段階では含有量の規制が更に厳しくなり、いわゆる「減塩醤油」も規制をクリア出来る基準を超えてしまう為、2024年にはコロンビアにおいて醤油が消滅・入手不可能となります。
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まるで私が「醤油コレクター」「醤油マニア」のように思われるかもしれませんが、実情はかなり深刻です。コロンビアにおいて今やこれらのレギュラー醤油を入手する方法はありません。ごく一部の店舗の棚にひっそりと残っている・それを探し当てるしか方法がありません。私自身は現在一人暮らしですのでこれらの量で当面の生活は維持できますが、ご家族の方々などはかなりひっ迫した状況下にあります。
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こちらは減塩法施行前に慌てて調達した中国製醤油です。日本の醤油と明らかに異なるのは、これらの中国醤油は人工甘味料を添加している為、醤油本来の味に加えてかなり甘みが強くなっています。日本で言えば九州の「たまり醤油」にかなり似ています。中国醤油はそのまま食味すると甘醤油らしいかなり強い味ですが、煮物に使う分には砂糖入らずの為かなり重宝しています。この中国醤油も今年3月位までは店頭に相当数並んでいたように記憶していますが、いつの間にか完全に消えてしまいました。日本のレギュラー醤油より消滅が遅かったのはナトリウム分(塩分)が少ない為第一段階での販売規制から逃れたのではないかと思っていたのですが、あっという間に市場から消えました。これにより現在コロンビア国内で中国製の醤油を入手する事も不可能となりました。
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意外と思われるかもしれませんが、コロンビア国民は実は中南米諸国ではトップレベルの「米食国民」です。メキシコを含む中米北部諸国では米よりもトウモロコシ粉を使ったいわゆる"粉もん"系の「タコス」などが主食ですが、コロンビア国民は地域によって同じトウモロコシ粉を使った「アレパ」を主食とする地域もありますが基本的にはとにかくご飯が大好きです。地域によっては朝から米食であり、白米に目玉焼きを乗せて食べるコロンビア人もいて、日本の卵かけご飯を食べるような感覚です。
その中でも特にコメの需要が多いのが実はコスタ(海岸)地域で、ここでは「ココナッツライス」が好まれています。海岸地域で米の需要が多いのは暑く湿気が多い土地柄、小麦粉やトウモロコシ粉は日持ちがしない為乾燥保存が容易な米が好まれているのではと思います。

ここで特筆すべき事は、コロンビア人はご飯を炊く際にはまず生米に塩と刻みネギなどを加えて油で軽く炒めた後、水を加えて炊き上げる点です。これにより同じ白米でも日本のご飯とは異なり塩気を感じる味になります。その他にもご飯に合わせたおかず類の大半は塩・若しくはブイヨンを多用する為、かなり塩気が強いのが特徴です。その為高血圧などの成人病が問題視され、それを改善させるための減塩法施行ですが、まず真っ先に市場から撤退させられたのがコロンビア人にとっては必ずしも生活必需品ではなく施行による混乱が少ない醤油・ソース類・風味調味料等です。私はコロンビアに住んでいますが外国人ですので政府の政策に対して反対と意思表明をする事は出来ません。ただ法律に従うのみです。

これはある方から聞いた興味深い話です。日本人は食後に甘いもの・デザート類を食べる習慣がなく、対してコロンビア人は食後に男女問わず飴を舐めたり大量のアイスクリームやケーキを食べたりするなどの習慣がありますが、この違いは「調理法の違い」です。
日本の普段の料理は醤油・味噌などの塩分が強めの発酵食品を「少量」使用する事で塩そのものの使用量は実は意外と少なくしているのです。この他にも実は意外にも「砂糖」を使います。例えば「煮物」に砂糖を使用しますし、豆類なども甘く煮付けたりだし巻き玉子のように砂糖を加えるものや日本伝統の「蕎麦」のつゆ、あんかけの甘酢など砂糖を使用する品目が多く、それを知った外国人は「日本人はこんなに砂糖を使うのか」と驚くそうです。料理に既に砂糖が加えられるので日本人はそれ以上甘いものを欲しないという理屈です。

対してコロンビア料理もそうですが諸外国の料理で砂糖を使うものは実はあまり多くありません。大抵は塩・ブイヨンなどを多用します。豆は「塩茹で」が当たり前のコロンビア人にとって甘く煮た豆・例えば「あんこ」など「もっての外」吐き出す人もいる程です。とにかくあらゆる品に塩を直接投入する為塩分が強い味になる、なので食後に体内を中和させる為あれだけ甘いものを欲してしまうのだという事です。

長くなりましたが、結論としましてこれからコロンビアに駐在等長期赴任される方々、コロンビアでは法律によりレギュラー醤油・だしの素などを入手する事は不可能ですので覚悟してご着任下さい。今後についてはまだ分かりませんが現在流通している「味噌」もいずれコロンビアから消える運命にあるかもしれません。

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ボゴタ日本人学校きさらぎ祭3年ぶりに開催

首都ボゴタ在留邦人の方々が集う一大イベント・ボゴタ日本人学校「きさらぎ祭」が3年ぶりに開催され、好天にも恵まれ大盛況でした。
このきさらぎ祭はボゴタ日本人学校PTAが主催する行事で、店舗販売の収益金は学校備品寄付等に充てられる貴重な機会です。私もPTA会長一回を含め5年間このきさらぎ祭運営に関わった事もあり、今回3年ぶりとなった開催に感慨深いものがありました。
後の記録として保存する為投稿します。尚、画像に写った大多数の方々のお顔につきましては掲載許可を頂いていない事から加工処理させて頂きます。
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まずは「おでん」きさらぎ祭でおでんを出品されたのはかなり久しぶりではないかと思います。海外生活が長いと醤油味に惹かれるものがあり毎日日本食もどきは自炊していますが、おでんを作る機会は滅多にないので頂きました。「これは美味しい」と即座に思った一品です。
昨今寿司やラーメンなどはコロンビア人にも人気で多くの店を見かけますので珍しさ感はないのですが、こちらのおでんは個人的感想ながらお店を出されても良いのではと思ったほど、もっと食べたいと後を引くレベルの高い逸品でした。
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前述の通り普段は自炊していますので煮物・焼き物・蒸し物等は作りますが唯一作らないのが「揚げ物」です(単に油処理が面倒なだけ)その事もあり、唐揚げに惹かれて買ってみました。鶏唐揚げは久しぶりに食べると美味しいですね。
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カレーライス、豚丼、そして以前当ブログで紹介したカルタヘナの日本食レストラン・Dame Ramenさんもカルタヘナから来訪・自家製特製チャーシューを販売し完売されたそうです。
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JICA(国際協力機構)さん出品の「コーヒー」は美味しくて結局4杯飲んでしまいました。こちらのコーヒー豆は先年行われたプロジェクトが実を結んだもので自分も側面で関わった事もあり、より格別な味でした。豚汁・ポップコーン、そして後からこの看板画像を見て初めて気が付いたのですが、オムライスも販売されていました。
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昨年、ボゴタ在留邦人の方々向けにビール醸造所&コーヒー農園ツアーを催行しご好評を頂きました。その際にお付き合い頂いたLINO Brewingさんも出店、暑さもあって売上は上々だったように見えました。たこ焼き・たい焼きも販売、こちらも長蛇の列が出来ていました。
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センスある和小物や日本の文具なども販売されていました。日本の伝統小物は当地ではなかなか手に入らないのでコロンビア人の方々にとっては珍しいものもあったと思います。
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きさらぎ祭が開催される旅に披露されている剣道愛好会の面々によるデモンストレーション、今回も変わらず行われました。自分がPTAにいた頃も行われた伝統、今も続いていました。
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かつて子供達を日本人学校へ通わせていた時も行った和太鼓演奏、こちらの披露も3年ぶりに行われました。子供達が一生懸命演じたあの当時を思い出し、少しばかりグッと来るものがありました。早いものであれから既に6年の歳月が過ぎました。
コロナ禍に巻き込まれずっと中断したきさらぎ祭の復活開催、元学校PTA関係者としてとても喜ばしく成功を心からお祝いします。

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2022年を振り返って

2022年も残りあと僅か。この一年を振り返るとコロナ禍前と比較してまだ完全には戻っていませんが、少なくとも世界中が感染に怯えていた前年2021年よりは非常に好転した一年でした。
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今年の元日はメキシコから来訪された日本人グループの方々のコロンビア国内周遊旅行の手配を完遂し、とても清々しい気分で迎えたのが始まりでした。思えば2020年3月から始まったコロナ禍から丸二年近く経ち、やっと再スタートが切れたという気持ちでした。
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その後もイースターや日本のゴールデンウイーク期間など節目節目で日本人の方々が観光で来訪されガイドとしての職務をこなす機会に恵まれました。有難い事でした。
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また、国際会議目的でコロンビアに御来訪された方々も今年は多かったのが特筆されます。偶然が重なっただけの話ですが立て続けに国際会議の合間を縫ってのボゴタ市内及び郊外観光のお申し込みを頂き驚いたのも今では懐かしい話です。
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コロンビアが世界に誇る特殊建築物をご紹介した事もありました。通常の観光プランでは見られないもので、長年蓄積した知識をフルに提供させて頂きご満足頂いたように思います。
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北中南米五ヶ国周遊旅行でコロンビアを訪問されたご夫妻の為にカルタヘナに出張し、フルアテンドさせて頂いたのも良い思い出です。コロナ禍前までは度々ありましたが、コロンビア国内有数の観光地・カルタヘナに出張してのガイドは実に久しぶりで張り切って出向いた事を思い出します。
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カルタヘナへはこの他、港湾視察目的で日本から来訪されたグループの方々向けにこちらもフルアテンドさせて頂きました。今年は観光の他、業務渡航・視察等での受け入れアテンドガイド業務が久しぶりに増えたのは喜ばしい話でした。
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今年はコロンビア在留邦人の方々の国内外旅行手配件数が久しぶりに増え、また法人・団体取引も復活したのは嬉しい話でした。航空券・ホテルなどの手配に加えて各種車両・とりわけ防弾特殊車両の御用命が多かったのが特筆されます。これは初めての事でした。
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忘れてはならないもう一つの出来事が、ボゴタ在留邦人向けに催行した「地ビール醸造所見学とコーヒー農園併設の別荘で過ごす日帰りツアー」を無事催行させた事です。企画自体は温めていたもののコロナ禍に巻き込まれて長らく催行出来ず満を持して募集・多くの在留邦人の方々のお申し込みを頂き催行・ご好評頂きました。好天にも恵まれ、地ビールの試飲とコロンビアコーヒーの赤い実を収穫して頂く、これを一日で体験するという他にはない企画が見事成功し、とても嬉しく思いました。
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2023年がどのような一年になるかは誰にもわからないでしょうし、私も分かりません。毎年の事ですが目標などは特に設けず、その時々の流れに任せて日々を送るのみです。

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2022年三が日日記

昨年末はお陰様で大晦日夜まで仕事をさせて頂いたので元日・2日はのんびり過ごしました。3日からはコロンビア在留邦人の方々が続々と国内旅行に出られる為再びスタンバイです。コロンビア国内は再びコロナ感染者数が増えてきましたので年始から気が抜けません。
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そんな最中ですが毎年恒例の「なんちゃっておせち」を作ってみました。例年ですと大晦日に作るのですが今回は年始2日に材料を調達しました。完全自己流ですので見栄えは悪いですが、年始めにおせちもどきを食べないと気持ち的に一年が始まらないので一念発起で取りかかりました。今回は昨年末にブラジルから観光で来訪されたお客様から頂戴した塩こんぶ以外の食材は全て首都ボゴタで手に入るものを使用しました。ここがポイントです(笑)我流ですが何とかなるものです。

今回はエビ・タコ、生椎茸と人参の煮物、だし巻き玉子、栗なしきんとん、ヅケマグロ、ほうれん草の白和え、なます、豆腐田楽(現在首都ボゴタでは味噌が欠品中で、以前から買いだめしておいた白味噌風の味噌は貴重な為少量使用)の9品です。
きんとん用のさつまいも、生椎茸、なます用の大根などは市内のパロケマオ中央市場に出向いて買い求めました。新年2日+日曜日という事もあり店頭に並んでいた野菜類はごく少量で、前述のアジア系野菜はたまたま売れ残っていたのがラッキーでした。
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買い出しに出向いた際に遭遇したのが画像の重厚感あふれるクラシックカーです。ガソリンスタンドで給油中の所に出くわしました。思わず目が点になり、助手席に乗っていた御婦人(という表現がぴったり)に撮影許可を求めた所、笑顔でOKしてくれたので撮影しました。御婦人の立ち振る舞いはどうみても「トップ女優」の風格があり、明らかに一般人とは違うオーラを感じました。

聞いた所この車は1946年製のフォード、車齢なんと「76歳」です。にもかかわらずタイヤも含め全てピカピカに磨き上げられ、それはもう素晴らしいものでした。クラシックカーの宝庫と言えばキューバのハバナが有名ですが、実はここボゴタでもたまにではありますがこのような素晴らしく・しかもピカピカのオールドカーに出くわす事があるのです。
そして給油後、御婦人と御主人・そして息子達を乗せたこの車は「風と共に」去って行きました。それはさながら映画のワンシーンのようでした。

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コロンビアにおけるコロナウイルス「ミュー株」と「ワクチンパスポート」

久しく投稿が滞りました。当地在留邦人の方々の年末年始旅行予約お申し込みが多々あり、バタバタしていました。この間、日本ではコロナウイルス「ミュー株」について報じられていた事は承知しています。このミュー株についてコロンビア在住の私のコメント等を投稿します。

まずはっきりさせておきたいのは、このミュー株は「昨年末」には既に拡散していて今年2021年1月に新株として「発見」したのがコロンビアにある国立保健所(INS)です。日本における一部報道では「コロンビアで派生した」という事になっていますが決してそうではなく、あくまでも新たなウイルス株を見つけたのがコロンビアの国立衛生機関という事で、INSもコロンビアで派生したものではないと表明しています。

そしてこれも重要ですが、前述のINSが「新種株」として発見してからWHOが「ミュー(MU)」という名を付けて注意すべきウイルス株と公表するまで8カ月以上も日本の皆さん・そして我々コロンビア在住者は「名無し株」の存在を知らずに過ごしていました。ですので8月最終日にWHOがミュー株という名前を発表した直後からいきなり「ミュー株怖い」という話になっていますが、既に半年以上もその株は世界中に広まっていたのも事実です。この間、日本においてミュー株感染者が発見されたのは2021年9月現在で僅か「2人」に過ぎません。。。その事例もコロンビア滞在歴はなかった方です。当地コロンビアからは今まで多数の在留邦人の方々が日本へ一時帰国・本帰国をされていて私もその航空券手配を承っている傍ら、実は私自身も日本へ先日一時帰国しました。私はコロンビアから帰国した邦人のミュー株検出例は今まで一例も聞いていません。

そしてこれもデータに基づく「真実」ですが、6月に接種対象年齢引き下げが始まって以来各種既製ワクチンの大規模接種が進み、最も状況が悪化していた頃は一日あたりの新規感染者数が約3万人前後だったものが現在では一日あたり1,300-1500人と「20分の1」に激減し、死者も一日あたり数十人と、こちらも激減しています。ミュー株はワクチン耐性効果が薄くなると日本で報じられていますが、当地での実際は大規模接種開始後の新規感染者及び死者数が激減、日本の報道機関その他はこのつじつまをどう合わせるのでしょうか。ちなみに当地コロンビアではミュー株という名前が発表されて以降「全く」話題にもニュースにもなっていません。それまで名無し株だったこのウイルスは既製ワクチンの接種により新規感染者数が激減している事からもはや「過去に流行したウイルス」と捉えられています。
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こちらはコロンビア政府・厚生社会保障省(Ministry of Health and Social Protection)が発行するコロンビア政府公式の「デジタルワクチン接種証明書」いわゆる「ワクチンパスポート」です(個人情報の大半は消しています)。厚生社会保障省が運営するサイト「Mi Vacuna」から身分証明書(日本でいう所のマイナンバーカード)の情報を入力するとPDF形式でデジタル証明書が発行されます。必要な情報は全て記載されており、私はファイザー製ワクチンを二度接種・その接種日やロット番号も含め全て証明されています。右側のQRコードも塗りつぶしていますが、チェックする側はこのQRコードをかざすとデータをそのまま取り込む事が出来ます。このデジタル証明書の発行数はまだ少ないですが私は取得する事が出来ました。このデジタルワクチンパスポートは現時点では日本やアメリカなどよりも進んでいるのではないかと思います。

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首都ボゴタにてコロナワクチン接種(第二回目)

先日の第一回目に続き、コロナワクチン第二回目接種完了しました(ファイザー製)昨年3月に始まったコロナ禍から一年三ヶ月、この間コロンビアにおいて単身生活を続けながらコロナ感染に怯える毎日でしたが、これで一区切りついた感があります。
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第二回目のワクチンも勿論ファイザー製でした。コロンビアでもファイザー製ワクチンは非常に人気が高く、その中で先週からこのワクチンの到着・市中への供給が滞り大きなニュースになっています。その中での第二回目の接種でしたが無事完了しました。コロンビアではまだワクチンパスポート発行の動きはありませんが、厚生社会保障省発行のワクチン接種証明書がありますので当面コロンビア国内ではこの証明書が役立つ機会があるものと思われます。
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先日の投稿で、ワクチン接種は自治体主体のものと日本の国民皆保険制度に近いEPSと呼ばれる健康保険制度主体で行われているとご案内しました。実はそれ以外にMedicina Prepagadaと呼ばれる割増掛金の支払いでより手厚いサービスが受けられる制度があり、私はこのMedicina Prepagadaを通じて接種を申し込みました。二回目の接種で分かったのは、私も労働者として加入しているEPSとMedicina Prepagadaでは待遇が全く異なる事です。

先日からのファイザー製ワクチン枯渇によりEPS経由での接種にも大きな影響が出ており、一回目の接種は出来たものの二回目の接種の見込みがない人達が続出しています。私はEPSとMedicina Prepagada両方を同じ民間の健康保険制度会社にて加入しています。左画像はMedicina Prepagada加入者専用の入口です。こちらは独自にワクチンを確保している為、昨今のワクチン枯渇騒動とは無縁で接種が出来ました。しかも完全予約制で接種日は何月何日・何時と時間まで指定してくれます。その為列に並ぶ事なく入場出来ました。

対して中・右画像がEPS制度加入者用の入口と列です。ワクチン接種待ちの列は目測で約100m程にも及んでいました。私はこの日7:00AMに予約を入れていてほぼその時間に第二回目の接種完了、20分程度待機してこちら側のEPSの方に赴いた所すごい行列になっていました。この列の大半がファイザー製ワクチン接種を希望する人達で、他にシノバック・アストラゼネカ製ワクチン接種用の列も別に設定されましたがそちらは殆ど列がありませんでした。しかも朝7時半の時点でこの100mの列の人達に対して係員がアナウンスで「ファイザー製ワクチンはボゴタ市当局からまだ届きません。正午頃に判明します」とのアナウンス。5時間近く更に待って接種出来るかも分からないという状況を知り驚きました。そして知ったのは各EPS加入者向けのワクチンは市当局から直接供給されるという事でした。独自に確保しているMedicina Prepagadaの方とは全く異なります。

このMedicina Prepagadaの月額掛金は決して安くないのですが、数年前に家族が帰国して今や単身生活となっている身でもしも何かあった場合EPSでは十分な医療サービスを受けられる見込みがないと思い、他の生活費を削ってでもこのMedicina Prepagadaの加入は継続しています。今回のワクチン接種でこの恩恵を最大限受ける事が出来ました。とは言え二回接種したからと言って100%感染を防げる訳ではないので引き続き気を付けつつ、少しずつ行動範囲を広げて皆さんに「コロンビアの今」をお伝えしていきたいと思っています。

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コロンビア・争乱から復旧へ

4月末に始まった大規模デモ以来久しぶりにボゴタ市内にある中央市場へ買い出しに出掛けました。ボゴタ市内は現在一部地区を除きいつもののんびりした平穏な雰囲気がまた戻ってきました。
大儀なき暴力・封鎖行為は何も生みません。事実、5月はコロンビアの主要輸出産業であるコーヒー生豆の輸出は前年同月比で何と53%減、インフレ率は5月単月だけで1%の上昇(うち食料品は5.37%上昇)、商店などの売上も軒並み減となりました。左翼系グループや思想者・人権団体・報道機関などはこの間、反政府を叫び続け政府治安当局側の過剰制圧行為を非難するばかりでしたが、元をたどればデモ参加者及び暴徒側の暴力・破壊行為などなければ治安部隊が制圧に動く筈もなく、今日のような平穏な日々が普通なのです。人々が学び・働き・談笑し、人・物・カネが動く事で国が発展する筈です(人についてはコロナ禍ですので動かないのは仕方ありませんが)
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中央市場のフラワーマーケットも心なしか大規模デモ以前より並んでいる花々が多いような気がします。これらの美しい花々を作る農家の方々にとっても、せっかく丹精込めて作った花々が道路封鎖により出荷出来なければみすみす枯らしてしまうだけです。我々消費者はこれらの品々を購入する事で農家の方々を支援している訳です。
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道路封鎖が解除され、暴力・略奪行為がほぼ沈静化した事で野菜類もデモ騒動以前まで流通しているように思いました。この日は白菜・大根・生椎茸などを調達しました。野菜類も例外なく値上がりしていますが、それでも以前に近い状態まで流通してきているのは嬉しい事です。
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市内各所も急速に復旧が進んでいます。画像はボゴタ市内を走るトランスミレニオの駅の様子です。大半の駅は暴徒達によって破壊されましたが、驚くほどのスビートで修復されました。それでもこの通り落書きやガラスがなくなっている場所も残っていて、大暴動のすさまじさを改めて感じました。莫大な額の修復費用は後に運賃値上げで転嫁される筈です。それが暴徒達の仕業であっても利用者負担の原則であれば私は反対しません。
私がこのブログを立ち上げてから一貫しているのは、この場は社会の不正や問題などを追及・報じるものではなく、あくまでも一般市民として普段の町の様子や私自身が従事している観光業関係者としての視点から見たコロンビアの見所などを紹介する事です。街中が平穏だと報道関係の方々はネタに困るかもしれませんが、私は逆に「コロンビアの普段の姿」を紹介するのが使命だと思っています。私はコロンビアに住んでいますがコロンビア国民ではない外国人ですので愛国主義者ではありません。あくまでも一般市民(外国人)です。
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こちらは場面が異なり「フィンカ」と呼ばれる別荘・若しくは現地伝統様式の家屋です。今はまだ叶いませんが、このようなフィンカでのんびりとコーヒーを飲みまったりする日が再び訪れる事を楽しみにしています。富める者も貧しい者も、生活のレベルは当然違いますがそれなりに普通の生活が出来る、それが幸せであり、そこに暴力行為などは不要です。コロンビア国内はこれから復旧が進んでいく事でしょう。

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首都ボゴタにてコロナワクチン接種(第一回目)

当地コロンビアでもワクチン接種が進んでいます。そんな中、私も首都ボゴタにて第一回目のコロナワクチン接種を行いました。予想よりも早い段階で接種する事が出来、ホッとしています。
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首都ボゴタにおける一般市民へのワクチン接種は行政機関主導のケース(身分証明書の末尾番号により管理)(医療従事者・政府関係者・治安維持関係者その他政府指定対象者などは別枠)の他、コロンビアでも日本の国民健康保険に似たEPSと呼ばれる制度があり、運営は認可を受けた民間企業数社が行っていて、ワクチン接種はそのEPS運営会社が行います。その為、接種を希望する人々は加入している会社を通じて申し込みを行います。私も加入しているコロンビア国内最大級のEPS会社に接種を申し込みました。

接種会場も加入しているEPS会社によって異なり、私の場合は屋内競技場での集団接種方式でした。この競技場では東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の橋本聖子さんが1995年9月、当時それまでのスピードスケートから自転車競技に転向直後、ここボゴタで開催された自転車トラック競技ワールドカップに日本代表選手として来訪・この競技場で参戦されました。
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今回の接種に際して、予約申し込みの翌日には接種する事が出来ました。最短では当日午後に接種も可能という事でした。会場入口で受付の際、一回目と二回目では異なる色のステッカーを体に貼り付けられ、一回目の接種の場合には二階へ案内されました。二回目の接種の場合には一階に案内されステッカーの色も異なる為、それぞれが混ざる事は絶対ありません。この予約体制・会場の導線はしっかりしていて感心しました。
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接種は各テーブルに二人体制で行います。一人は接種申込書を受け取り個人データを入力、もう一人は接種に専念する担当でした。接種に際してはファイザー製のワクチンを使用し、Pfizerと記載されたロット番号付きのラベルと目盛線にワクチンが0.3ml入った瓶を私に見せ、未開封の注射器入りの袋を目の前で開封し面前でワクチンを注入・注射器内に0.3ml入った事を双方で確認して接種という念の入れようでした。これで少なくとも中身が空の状態で注射をしたり、使用済みの注射器を再び使ってしまうミスは100%なくなります。大袈裟かもしれませんが、上腕部に針が刺さりワクチンが注入された瞬間「これでコロナの恐怖から少し解放される」と万感の思いに浸りました。昨年3月に始まったコロンビアでのコロナ禍から一年三ヶ月、やっとワクチンを接種する事が出来ました。

このEPS会社の導線体制が特にしっかりしていたのか、或いはコロンビア人の几帳面さからかは分かりませんが、会場での接種待ち待機・接種・接種後の待機場所への誘導など、それぞれのスタッフが完璧に連携していてそれは素晴らしいものでした。日本の大規模接種会場での導線は知り得ませんが、会場到着から接種まで30分もかかりませんでした。
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こちらが接種証明書です。画像の加工により個人情報は消去しています。証明書には接種日・使用した製剤名およびロット番号・接種したEPS会社名・担当者等のデータが書き込まれました。接種後待機場所でスタッフによる脈拍・血圧・血中酸素濃度の計測を受けた後に受け取る事が出来ました。感無量です。二回目の接種については前述の接種時点でスタッフがデータを入力した際にインプットされたメールアドレスに接種終了約30分後位で次回の日時の連絡が届きました。素晴らしいシステムです。

続く二回目の接種を経てワクチンが有効になる事でしょう。未だ続くコロナ禍での厳しい生活ですが、今日の第一回目のワクチン接種で自分なりに転機を迎えた気分です。尚、これは個人差があると思いますが私の場合は接種から12時間以上経っても上腕部から指先にかけての鈍痛としびれが予想していた以上に強いです。オリンピック選手達もこれから接種が始まると思いますが、おそらく接種当日と翌日は腕に痛みが残り練習は厳しいのではと思います。私も接種当日にブログ記事を書くのは無謀でした(笑)

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大規模デモから一ヶ月

コロンビア国内各地で発生している大規模デモから一ヶ月が経ちました。未だ終息の気配は全く見られません。この間、国内の経済活動は悲観的水準まで停滞しています。現在まで続いている反政府デモの参加者は若者や左翼系グループ・労働組合や失業者などが主となっています。
私は主張する事自体を否定するつもりはありません。コロンビアにおけるデモ活動は事前申請により合法的に認められる行為です。しかしながら現在の反政府デモはもはや前述の人々の憂さ晴らしの場と化しています。デモによって何を主張したいのか・どうすればコロンビアが発展する事が出来るのか・そして基本的な話としてどうすれば解決出来るのか、それらについて全く報じられていません。


他方、それまで静観し続けていたいわゆる一般市民もついに動きました。反政府デモ反対・暴力行為反対を訴える平和的デモが首都ボゴタやメデジン・カリなどで同時に行われました。参加者達は無抵抗を象徴する白シャツで行進し、現在も続く大規模反政府デモや破壊・暴力・略奪行為を非難しました。もう黙っていられないという思いだったのでしょう。


対してこちらは反政府デモ活動の様子です(カリ市)。これはもはや「暴動」であり、デモとはとても言えません。明らかに破壊・略奪行為をしています。信号機を倒したり電柱を倒して電線をショートさせたり、焼き討ち・交番襲撃+略奪などやりたい放題です。また銃声音が聞こえますがこれは治安部隊側ではなく暴徒達が発砲しているものです。二つのデモの様子は明らかに異なります。参加者も平和的デモの方は成人・中高年齢者層が多いのに対して、反政府活動者は若者が大半です。反政府活動者はこの行為によって何を主張したいのか理解不能です。経済格差・社会格差・失業や政策に対する不満は多くの人が持っていると思いますが、それを暴力行為で表現するのは論外であり、それらが理由だと実力行為で示すのはこじつけに過ぎず全くもって許せない話です。自分の家や職場・利用している駅や自分の店、丹精込めて作った農作物などを破壊・略奪された人々の身になってみて下さい。
コロンビアという国が独裁政権・軍事政権・国家破綻いずれかで将来の展望が見出せず、そこから脱したいという事での実力行為であれば理解出来ますが、私も含め多くの人々は富める者も貧しき者もそれ相応の生活をしています。不満を暴力行為で表す事を黙認・若しくは勇敢な行為と褒めるなど到底認められません。政府はデモ活動をしている人達の声を聴け・若しくは聴くべきだというコメントもありますが、それでしたら大多数の国民を納得させるだけの意見・主張・対案を早急に示すべきです。しかし人々を納得させる「声」は殆ど聞いた事がありません。

反政府活動を暴力的ではなく平和的に行っている人々もいるのも事実です。ただ、全てではないのですが報じられている映像・画像を見ると「マスク非着用」のケースが多々見られます。コロナ禍でマスク非着用・ワクチン未接種で大人数が密集すればどうなるか、答えは明白で大規模デモ勃発以来「新規感染者大幅増」です。人口が日本の約40%・5,000万人のコロンビアにおいて日々の感染者が20,000~25,000人は異常です。日本に例えれば一日あたり約65,000人前後が日々感染しているという驚愕的数字です。これもまたデモ活動の弊害と言えるでしょう。

コロンビア国内のデモ(というよりももはや憂さ晴らしの場)が終息するにはまだ時間がかかりそうです。人権保護団体やいわゆる人権派その他は政府の暴力的制圧行為ばかりを追求する傾向が見られますが、他方で「普通に生活する権利」それも「人権」です。一日も早く普通に生活出来る日を心から待ち望んでいます。

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左傾化するコロンビア、秩序なき抗議

前回の投稿で現在も収拾の目途が立っていないコロンビア国内でのデモ活動等に対する私の個人的見解を述べました。一時のような大規模争乱はなくなったものの、現在も大小さまざまなデモや一部地域での道路封鎖などが続いていて事態終息の気配は全く見られません。
このような抗議活動が続いている結果、先日コロンビア国債の格付け格下げ(投資不適格扱い)・そして6月に開催予定のサッカー・南米選手権(Copa America)におけるコロンビアでの準決勝・三位決定戦・決勝開催が剥奪されました。

ちょうど20年前の2001年コロンビア大会の際には反政府ゲリラの影響で複数国が懸念を表明し出場を辞退・あろう事か大会期間中にコロンビアサッカー協会会長がゲリラに誘拐される事態が発生しました。この時には国民の怒りが爆発し、ゲリラ側もさすがにまずいと思ったのがすぐに解放し、大会は開催国コロンビアの優勝で幕を閉じました。しかし今回は度重なるデモや暴力・破壊行為を繰り返した事で南米サッカー協会がコロンビアにおける開催権を剥奪と決定しました。

コロンビア国内の混乱は前回コメントした通り当初は増税反対が大義でした。しかし今やデモに参加する人々は何に対する反対なのか、何を求めているのか、どうすればコロンビアという国が発展出来るのか、まるでバラバラです。ある人は「マリファナを合法化しろ」と自ら大量のマリファナをくわえながらデモ行進に参加していたり、格差是正・地位向上などそれぞれが好き勝手に主張する場になっていて、もはやうっぷん晴らしの場と化しています。

前述のサッカー・南米選手権関連では個人的に今年大一番の仕事を受ける予定でしたが、開催国剥奪により全てが吹っ飛びました。悲しいを超えて怒りが収まりません。これは私の個人的意見ですが、コロンビア国民にとってサッカーは「三度の飯よりも好き」な人もいようかと思います。前回20年前と同様、大きなイベントを通じて国民が一つになり、コパアメリカによりホテルや輸送その他様々な関係者が潤う又とない機会だった筈です。それを反政府デモや道路封鎖などを続けている人達はぶち壊してしまいました。

今や誰もが感じている筈ですが、コロンビアはここへ来て「左傾化」が進んでいます。昔の脅威は長年反政府ゲリラに対するものでしたが、現在の脅威は極左思考に賛同する国民が着実に増えてきている事です。来年行われる大統領選によりそれがはっきりしますが、現時点では極左系の候補が優位とされています。未だに解決の目途が立たない反政府・抗議活動と相まって今後が憂慮されます。



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