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2025年7月

小説「百年の孤独」の舞台・マコンドとガルシアマルケスを知る旅

先日ノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの作品ファンというご夫妻のご希望により、小説「百年の孤独」の舞台とガルシアマルケスに関連する地を訪れるプライベートツアーを企画・フルアテンドさせて頂きました。過去にこれらに関する情報を発信した日本人の方は殆どいない事から、今回おそらく史上初めて当方が投稿します。
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百年の孤独の舞台は現在のマグダレナ県。我々は後の行程の関係から隣のアトランティコ県バランキージャへ空路向かい、そこから専用車で約3時間かけて現地へ向かいました。カリブ海岸に近い町シエナガ(Cienaga)から内陸への道に右折するとしばらくしてから進行方向左側に高い山々がせり上がってきます。これが南米大陸最北の雪山・シモンボリーバル山を擁する「シエラネバダ山脈」の西端です。そこから更に走行して到着したのがガルシアマルケスの生地・そして百年の孤独の舞台の一つであるアラカタカ(Aracataca)です。小さな町の入口には小説の舞台となった「マコンド(MACONDO)」と百年の孤独の碑があります。
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アラカタカの町はガルシアマルケスの生地という事もあり中心部の至る所で彼の顔を描いた壁画が見られました。これだけでも百年の孤独の世界を感じました。この場でいくつか掲載しますが実際にはもっと沢山あります。
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町の中心部にはガルシアマルケスの生家があり現在は博物館になっています(入館無料・月曜日休館)ここが百年の孤独に出てくる「ブエンディア家」です。この家を舞台に様々な事が起こった、まさに重要な場所でした。入口では軍服を着たアウレリャノ・ブエンディア大佐に扮した人が出迎えています。
敷地内には大木が鎮座しています。樹齢は相当なものですがこの大木こそがストーリーではホセ・アルカルディオ・ブエンディアが精神を病み縛られた「栗の木」のモデルとなった木です。一緒に写っている女性の身長と比較するとどれだけ大きいかが分かります。
実は博物館内を見学中の我々の前に数匹の「黄色い蝶」が現れ、移動した別の場所にも姿を現しました。黄色い蝶は小説の中に登場するもので、百年の孤独と言えば黄色い蝶と象徴付けられています。それが我々の目の前に偶然現れまさに小説の世界そのままになりました。
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ガルシアマルケスの生家=ブエンディア家の中には当時の調度品が置かれていて百年の孤独の世界を再現しています。食卓やガルシアマルケスの祖父の部屋=ホセ・アルカルディオ・ブエンディアの部屋には金細工加工の為の器具も置かれています。
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敷地の壁には寄せ書きの場がありこの博物館を訪れた多くの人々が残した様々なメッセージなどが見られます。我々も当然この場に記帳しました。また、博物館の前にはグッズを販売する露店があります。殆どが手作りですのでここで記念に買うのも良いかもしれません。
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ガルシアマルケスの生家(ブエンディア家)以外の観光スポットとしては町の中心部にある教会があります。ここにもガルシアマルケスの姿があり、撮影スポットとしてはお勧めです。そして町の外れ・前述のアラカタカの入口付近にあるのが昔の鉄道駅です。かつてガルシアマルケスはこの駅を利用した筈です。駅自体は現在使用されていませんがレールは新しく敷き直して現在では付近で採掘した石炭を運ぶ為の列車が運行されています。
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百年の孤独の中に出てくる村「マコンド」、実は地図上現存している場所です。そこはガルシアマルケスの生地アラカタカから車で約40分の場所にあるGuacamayalという小さな町(ほぼ村に近い)に隣接するSevillaという地区とその周辺が現在も地図で検索すると「MACONDO」として出てきます。ここが小説上描かれているマコンドのもう一つの場所です。ガルシアマルケスはこのMACONDO集落の名前の響きを気に入って小説上の舞台として描いたようです。当時も現在もMACONDO集落は広大なバナナ生産地帯で、周囲には無数のバナナの木々が並んでいます。
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こちらは小説上実名で登場する旧ユナイテッドフルーツ社の邸宅跡です。かつてマコンド一帯の広大なバナナ農園を所有していた企業のアメリカ人社員向け福利厚生施設だった所です。当時もそうだったと思いますがこの場所は現在も時が止まったような静寂な空間です。このユナイテッドフルーツ社が来てバナナ農園を支配するようになってから変わってしまった激動の場です。
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旧邸宅の一つには当時の社員だった方のお孫さん(といっても既に高齢)が現在も住んでいます。リビングルームには当時の調度品が並べられています。スプーンは銀製・皿の一つにはユナイテッドフルーツ社のロゴマークが刻印され、家具はアメリカやアジアからわざわざ持ち込んだものです。当時のアメリカ人社員はここで優雅な毎日を過ごしていた事が分かります。
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そしてここが小説でも記述され実際にあった悲劇の場「バナナ農夫大虐殺事件」となった広場跡と鉄道駅跡です。
百年の孤独でも描かれた通り、当時莫大な利益を上げていたユナイテッドフルーツ社とは裏腹に農園労働者は過酷な労働に苦しみ、ついに不満が爆発して駅前広場で決起、ユナイテッドフルーツ社の要請を受けた軍隊が無差別発砲を行い一説には1,000人以上の人々が凶弾に倒れた場です。かつては乗客と共に収穫したバナナを列車に積み込んだこの駅からは多くの遺体が運ばれカリブ海に遺棄されました。現在はこの場で大虐殺があったとは微塵にも感じないほどの静寂の場となっています。ここが百年の孤独で描かれているマコンドのもう一つの舞台です。
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現在開催中の大阪万博・コロンビアパビリオン内はこの百年の孤独に出てくる場面とガルシアマルケスの世界を再現していると承知しています。
これをきっかけにコロンビア・ガルシアマルケス・百年の孤独に代表される彼の小説の世界などに興味を持たれる方々が増えていくことを望んでいます。

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