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コロンビアの世界遺産サン・アグスティン石像遺跡群

先日初めてコロンビア国内南部ウイラ(Huila)県にガイド出張しました。本来の目的はコロンビア国内でコーヒー作付面積が最も広いこのウイラ県のコーヒー農園視察でした。視察の合間に世界遺産であるサン・アグスティン考古学公園内にある石像遺跡群を見学する事が出来ましたので記録として公開投稿します。
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サン・アグスティン石像遺跡群を訪れる為に最も便利なのが首都ボゴタから空路約一時間でピタリト(Pitalito)へ向かい、そこから車で約一時間ほど移動する手段です。ピタリト空港は小さく有視界離発着の為、首都ボゴタとの間はプロペラ機による運航となっています。
このピタリト空港が開港するまで首都ボゴタからサン・アグスティンまでは路線バスで約12時間もかけて移動するしか手段はなく遠い存在でしたが、空路でピタリトまで移動出来るようになって世界遺産遺跡群がぐっと身近な存在になりました。
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ピタリト空港から遺跡群見学の拠点となるサン・アグスティン村までは車で約1時間、街道沿いには視界一杯に無数のコーヒーの木々が広がっています。この間、身の危険を感じるような事は全くなく、あくまでものどかな風景が広がっていました。
実は私自身今回初めてウイラ県を訪問するにあたり「昔のウイラ県」今から15年以上前のウイラ県が反政府ゲリラ活動地帯であった頃のイメージが頭にあり多少ビビっていましたが、いざこの地を訪れてみるともはやゲリラの影響など微塵もありませんでした。

今回のウイラ県訪問の本来の目的は前述の通りコーヒー農園視察で、ここウイラ県は現在コロンビア国内でもトップクラスの良質のコーヒー生産地帯です。日本のコーヒー業界関係者には有名なゲイシャ、ブルボン、ピンクブルボン、ブルボンシドラ、カトゥーラ、カトゥーラチロソその他多数のスペシャリティコーヒー豆はフラットな土地ではなく大半が高低差のある山間の地形に木々を植え生産されています。高い所では2,000m近い標高にコーヒー農園があり、昨今地球温暖化によりコーヒー産地の気温が上昇してもはや従来の1,300~1,600mの標高帯では気温が暑くスペシャリティコーヒーの生産には厳しい条件になっている中、ウイラ県は今や数少ないスペシャリティコーヒー生産地である事を今回の視察で認識しました。
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世界遺産石像群観光の拠点となるサン・アグスティン村です。所々に外観が美しい建物があり、昨今ヨーロッパからの観光客が押し寄せています。日本人で世界遺産の石像群も含めこのサン・アグスティン村を訪れる方はまだまだかなり少ないですが、旅行業界に携わっている私個人の意見としてこのサン・アグスティンはまさに「一押し」の観光地です。
村内にいわゆる高級ホテルはないものの数多くの宿泊施設があり、特に小さな村の外れあたりにおしゃれなカフェやレストランがあります。
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こちらが世界遺産であるサン・アグスティン考古学公園(Parque Arqueológico San Agustín)です。ここは村から車で約10分・広大な敷地内に点在している石像群は1995年に世界遺産登録されました。うっかりして入口付近はこの画像しか撮影していない事に後で気が付きました。いわゆる管理棟エリアはとてもよく整備されていて素晴らしいものでした。下記に2025年5月現在の情報をご案内します。
☆公開時間08:00AM~3:00PM(毎週火曜日、12月25日、1月1日はクローズですので注意)
☆入園料金65,000コロンビアペソ(外国人)45,000コロンビアペソ(コロンビア国内居住者)
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広い園内は"Mesita"と呼ばれる区画が3つあり全てを巡ると約2時間はかかります。公園入口前に公認ガイドが数人待機していますので目安として約US$40前後(120,000~150,000コロンビアペソ)を支払い専属ガイドとして説明を受ける事を絶対的にお勧めします。説明を受けず広い園内を巡るのは時間のロスもありますが各石像が何を表しているのか全く分からず、せっかくここまで来ながら単に石像を見ただけに終わってしまいます。
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最初にMesita Aの区画を通ります。このエリアは未舗装で雨が降ると地面がぬかるんでいますので必ずスポーツシューズを履いて下さい。ここから公認ガイドの説明を受けます。奇妙な姿の各石像が何を表しているのかガイドの説明を受けると「なるほど」ととても納得出来ます。
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石像それぞれが何を表しているのか説明は割愛します。それはこの場でガイドから聞いた方が良いですね。ここで紹介出来るのは園内にあるものも含めるとサン・アグスティンエリア全体では実に500以上もの石像が点在しているらしく、それらは数十キロ先にある活火山ウイラ山(Nevado del Huila)から噴出した「噴石」を彫ったものらしいです。噴石自体は大きいもので実に数トンの重さがあり、それらが数十キロ先まで飛んだのですから驚きです。
右画像、これは全く別の場所・視察したコーヒー農園の敷地内にあった噴石で、先住民達はこのように広範囲にわたって地面に突き刺さった噴石を彫ったようです。園内にはその噴石を彫り丸太を使って移動・直立させた想像図もあります。
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Mesita Aを歩き終わると視界が開けます。このエリアがMesita B・公園内で最も見ごたえのある場所・聖地です。ここには重要人物が埋葬されていたらしく、高さ約4mにも及ぶ石像もあります。ここにある石像はサン・アグスティン遺跡を象徴するものとして有名です。中画像はこの先にあるMesita Cに繋がる「聖なる石畳の道」です。
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左・中画像の二つがサン・アグスティン遺跡の石像として紹介されている有名なものです。こちらもそれぞれが何を表しているのかは割愛します。そして右画像の三角形状の石像をクリック・拡大すると下半分が茶色く色付いているのが分かります。これは発見された当時下半分が地中に埋まっていた状態だった為です。このMesita Bにたどり着いた時「ああ、サン・アグスティン遺跡に来たのだ」という実感がわきました。
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Mesita Bの先にあるのがMesita Cでこの間の道は整備されています。Mesita Cには4体の石像があり、このエリアはさほど大きくありませんが、ここも聖域・墓地だったようです。ここまで来て折り返しとなります。
世界遺産であるサン・アグスティンの石像遺跡群は前述の通りこの公園内だけではなく、付近を流れるマグダレナ川付近にも点在・一部は川にある巨岩を彫った状態で残っていて、これらを見て回ると考古学公園を含め丸2日を要するものです。世界遺産マニア、そして遺跡好きの方々には絶対に訪れて頂きたい見ごたえのある場所としてお勧めします。

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