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2023年12月

首都ボゴタの中の「イギリス」的な街並み・テウサキージョ(Teusaquillo)地区

首都ボゴタにある名門・ハベリアナ大学へ約一年間留学される女子学生さんの為に長期滞在用の学生向けアパートを探す仕事を請け負いました。親御さんと場所の選定を続けていた中で一つ候補に挙がっていたのがテウサキージョ(Teusaquillo)地区でした。
私自身テウサキージョ地区は一度だけ行った事がありますがそれも一部であり、今まで一度もくまなく歩いた事がなかったのですが、以前から建物の景観が美しい地区だという話は聞いていました。その為私自身が実際歩いてこの地区を見て回った所、この地区はまさに「古き良きイギリスの街並み」を思わせる素晴らしい場所である事を改めて知りました。
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テウサキージョ地区自体はボゴタがまだ小さな町だった頃には北部の外れにある最高級住宅街として整備された経緯があります。現在のテウサキージョ地区の位置付けはどちらかというと旧市街・中心地区に近い方になっていて、人口1,000万人の大都会ボゴタの街並みはそこから更に北へ延伸しています。その中にあってここは別世界・前述の通りレンガ造りの建物の外観はまさにイギリスそのもの、それもその筈で昔は当時の大統領の別邸があったほどです。その名残を今に残しています。
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地区内には複数の教会や学校があります。それらはいずれも他の地区ではあまり見かけない様式の建物です。このエリアを歩いていると、ここが南米・コロンビアとはとても思えません。ここだけ別の国にいるような錯覚を覚えます。
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長期滞在用の宿舎について具体的な場所の言及は避けますが無事契約に至り、1月から入居する運びとなりました。そこは元々三軒だった洋館(という呼び方にふさわしい建物)を大改修して一つに繋げて学生向け長期滞在用アパートに仕立てたもので、場所と言い内部の素晴らしさと言い、これ以上の物件はないと断言できる素晴らしい所です。私自身が自ら管理会社と連絡を取り、LINEビデオチャット機能を駆使して日本にいらっしゃる御本人・親御さんと共に実際内覧をして決めたもので世の中便利になったものです。日本側のお二人は当地に出向く事なく、私がスマホのカメラ機能で内部の様子などをライブ配信する状態をご覧頂き、その場にいるような感覚で部屋をご覧頂けました。
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現在の北部最高級住宅街地区の街並みはこのテウサキージョ地区とは全く異なる景観です。その中にあってこのテウサキージョ地区の景観・建物のデザインは後世まで残したい素晴らしいものです。それは旧市街・コロニアル地区の景観とも全く異なるものです。
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このテウサキージョ地区で特筆されるもう一つの特徴にお洒落なカフェが多い事が挙げられます。これにも驚きました。新市街地区にあるモダンな造りのカフェとは異なる、洋館をそのまま利用したレトロ風のカフェはとても落ち着いた空間である事を感じます。
画像のこのカフェは徒歩散策中に偶然見つけた場所で、結果として首都ボゴタでもトップレベルの焙煎エリア付きカフェでした。こ子も素晴らしかったです。
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私が何気にこの場所に入った時は偶然でしたが英語ガイドによる外国人ツアー団体がここを訪れていました。ここはどちらかというとコーヒー豆を焙煎する「ロースター」さんで、併設している10人も入れない小さなカフェはおまけのような場所でした。その中にあってコーヒー豆をガンガン焼いていて焼き上がった豆を卸売り&直売している専門業者でした。加えて二階部分には昔から現在に至るまでのコーヒーメーカー各種が展示されていて、アカデミーとして焙煎業者を養成する教室もあったりしました。
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更に驚いたのがここで取り扱っているコーヒー豆の種類です。国内各地の良質の豆の他、ボルボンSidra・Chiroso、ゲイシャ(Gesha)やHidronaturalなどの希少種&スペシャリティコーヒー豆を取り扱っていて、その価格の安さにも驚きました。
私はここにたどり着くまでに既にコーヒーを二杯飲んでいましたが、試しに一杯2,500コロンビアペソ(約90円)の7Ozサイズ・アメリカーノを飲んだところ苦みがないすっきりした味で、あっという間に飲み切ってしまいました。さすが焙煎業者直営のカフェ、加えて豆自体の質の良さを改めて知る事が出来ました。
お土産として右画像・黒い袋のSierra Nevada(コロンビア国内最北部に近い山間)産の豆(500g入りで28,000コロンビアペソ・約1,000円)を買って帰りました。基本は豆の状態で袋に入っていて、頼むと裏の焙煎エリアで挽いてくれます。挽いた直後の豆ですので袋から漂う香りが半端ではなく、良いものを手に入れました。実際飲んでみると苦み・酸味は殆ど感じず、逆にフルーツを思わせるような味わいでした。この価格でこのクオリティ、お値打ち感大でした。

テウサキージョ地区の素敵な一角とモダンな外観の建物群を徒歩で散策。ガイドブックには載っていない一角ですが特に建築関係に興味がおありの方々には是非ともお勧めしたい場所です。

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コロンビア民芸品博覧会2023・質の高い伝統工芸品を紹介

毎年12月に開催される「コロンビア民芸品博覧会」には国内各地で作られている様々な伝統工芸品が一堂に会します。首都ボゴタでは滅多に見かけない逸品もあり、私自身この機会を毎年楽しみにしています。
他国の伝統工芸品の全てを知っている訳ではないので確たる証拠は何もありませんが、コロンビアの民芸品・手工芸品は他国と比較して単なる観光土産のレベルを超えた実用品として十分使えるものが多く、質の良さと作り手の手先の器用さは群を抜いているのではないかと思っています。
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毎年開催されるこの民芸品博覧会を楽しみにしている人は多いと思います。例え買わずともコロンビア国内各地にどれだけの民芸品・手工芸品が存在し、その伝統技術が継承されているかを知る良い機会でもあります。私も仕事柄コロンビアを訪れるお客様に「お土産」としてどのようなものがあるのか知っておく良い機会でもあります。
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こちらは昨今日本人女性の間で人気が高まっている、国内北部に住むワユー族の女性が一つ一つ手編みで作り上げる手提げバッグです。カラフルな色合いが特徴で、幾何学模様の一つ一つにはワユー族独特の象形文字的な意味があります。美しいデザインはまさに女性受けするものですね。このコロンビア民芸品博覧会で数多く出店している伝統工芸品の中でもひときわ目立つ存在です。
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こちらのワユーバッグは通常サイズの二倍以上の大きさで、実用品として買い物バッグなどに使える大型のもので、まさに逸品です。但し全て手編みですので値段もそれなりにするもので、日本円換算で約25,000円程度します。ワユーバッグ自体は無数に出回っていますがこの位の大きさは記憶では初めて見たように思います。
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こちらもほぼ同じ大型サイズのバッグです。隣に並んでいる通常サイズと比較して大きいのが分かります。柄が分かりやすいよう折りたたんだ状態で撮影しましたが実際は円柱状のバッグです。こちらもやはり日本円で2万円以上する逸品です。
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対してこちらはモノクロ色のアルアコ族が編み実用品として使用している肩掛けバッグです。ワユーバッグの方は木綿糸を使用しているのに対し、アルアコバッグの方は羊毛を使用している為ごわごわした手触り感です。ワユー族は国内最北の砂漠地帯に多く住んでいるのに対し、アルアコ族は南米大陸最北の雪山・クリストバル・コロン山の麓に住んでいる事から気候帯の違いもあり、その事もあって色使いも異なるのかもしれません。
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こちらはコロンビア国内に数多くある伝統工芸品の中でも最高傑作品の一つと言える「モパモパ」細工です。モパモパ細工とは国内南部・ナリーニョ県だけに自生している「モパモパの木」の樹液を煮詰め染料を加えて色付けし、冷ました所で口と手を使い大きく広げて薄く延ばした後、カッターで細かく切って黒地の素材(木材)に貼り付けたものです。カラフルな異なる色の部分は塗ったのではなく全て色付けしたモパモパの樹液を貼り合わせたものです。日本で言えば金箔工芸品に若干似ているかもしれません。細かく且つ芸術的にカットする事が出来る職人の数が減少し、且つモパモパの木自体もこの数を大きく減らしています。将来的には技術の伝承も含め絶滅の危機にあります。
画像の二点ですが、手前の壺は日本円で約5万円、奥の皿に至っては何と約12万円もします。
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これらは首都ボゴタの北隣にあるボヤカ県やその他各地に伝わる伝統工芸品です。葦の茎を細かく裂いて編み上げたものなど素材は様々ですが基本的にはがっちり編み上げている為丈夫であり、且つデザイン的にも優れたものです。実用品として全くそん色なく使用出来るものです。異なる色の素材を器用に編んでいて芸術的価値のある逸品でもあります。値段的には数千円から数万円するものまであり、単なる民芸品の域を超えた品々です。

この場で紹介するものは全工芸品の中でもほんの僅かです。この他にも逸品は数多くありとても掲載し切れません。コロンビアを訪れる事がありましたら是非ともこれらの民芸品・伝統工芸品をお求めになられる事をお勧めします。

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