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大規模デモから一ヶ月

コロンビア国内各地で発生している大規模デモから一ヶ月が経ちました。未だ終息の気配は全く見られません。この間、国内の経済活動は悲観的水準まで停滞しています。現在まで続いている反政府デモの参加者は若者や左翼系グループ・労働組合や失業者などが主となっています。
私は主張する事自体を否定するつもりはありません。コロンビアにおけるデモ活動は事前申請により合法的に認められる行為です。しかしながら現在の反政府デモはもはや前述の人々の憂さ晴らしの場と化しています。デモによって何を主張したいのか・どうすればコロンビアが発展する事が出来るのか・そして基本的な話としてどうすれば解決出来るのか、それらについて全く報じられていません。


他方、それまで静観し続けていたいわゆる一般市民もついに動きました。反政府デモ反対・暴力行為反対を訴える平和的デモが首都ボゴタやメデジン・カリなどで同時に行われました。参加者達は無抵抗を象徴する白シャツで行進し、現在も続く大規模反政府デモや破壊・暴力・略奪行為を非難しました。もう黙っていられないという思いだったのでしょう。


対してこちらは反政府デモ活動の様子です(カリ市)。これはもはや「暴動」であり、デモとはとても言えません。明らかに破壊・略奪行為をしています。信号機を倒したり電柱を倒して電線をショートさせたり、焼き討ち・交番襲撃+略奪などやりたい放題です。また銃声音が聞こえますがこれは治安部隊側ではなく暴徒達が発砲しているものです。二つのデモの様子は明らかに異なります。参加者も平和的デモの方は成人・中高年齢者層が多いのに対して、反政府活動者は若者が大半です。反政府活動者はこの行為によって何を主張したいのか理解不能です。経済格差・社会格差・失業や政策に対する不満は多くの人が持っていると思いますが、それを暴力行為で表現するのは論外であり、それらが理由だと実力行為で示すのはこじつけに過ぎず全くもって許せない話です。自分の家や職場・利用している駅や自分の店、丹精込めて作った農作物などを破壊・略奪された人々の身になってみて下さい。
コロンビアという国が独裁政権・軍事政権・国家破綻いずれかで将来の展望が見出せず、そこから脱したいという事での実力行為であれば理解出来ますが、私も含め多くの人々は富める者も貧しき者もそれ相応の生活をしています。不満を暴力行為で表す事を黙認・若しくは勇敢な行為と褒めるなど到底認められません。政府はデモ活動をしている人達の声を聴け・若しくは聴くべきだというコメントもありますが、それでしたら大多数の国民を納得させるだけの意見・主張・対案を早急に示すべきです。しかし人々を納得させる「声」は殆ど聞いた事がありません。

反政府活動を暴力的ではなく平和的に行っている人々もいるのも事実です。ただ、全てではないのですが報じられている映像・画像を見ると「マスク非着用」のケースが多々見られます。コロナ禍でマスク非着用・ワクチン未接種で大人数が密集すればどうなるか、答えは明白で大規模デモ勃発以来「新規感染者大幅増」です。人口が日本の約40%・5,000万人のコロンビアにおいて日々の感染者が20,000~25,000人は異常です。日本に例えれば一日あたり約65,000人前後が日々感染しているという驚愕的数字です。これもまたデモ活動の弊害と言えるでしょう。

コロンビア国内のデモ(というよりももはや憂さ晴らしの場)が終息するにはまだ時間がかかりそうです。人権保護団体やいわゆる人権派その他は政府の暴力的制圧行為ばかりを追求する傾向が見られますが、他方で「普通に生活する権利」それも「人権」です。一日も早く普通に生活出来る日を心から待ち望んでいます。

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