コロンビアで起こっている事態についての見解
コロンビア国内で起こっているデモ・争乱については、コロンビアに関係している方々・関心を持たれている方々は既にご存知の事態となっています。これについて首都ボゴタに在住している私自身の個人的見解をここに述べたいと思います。
既に報じられている通り大規模デモ・争乱について、当初は「増税反対」がきっかけでした。これについて一部の報道機関や自称ジャーナリストと言っている人々は「コロナ禍の増税」と表していますがこれは「間違い」です。現在のコロナ禍真っ只中に増税をするという事ではなく、ワクチン接種などを前提に「コロナ禍終息後の景気回復」を見込んで「来年2022年からの段階的増税」を検討した事に反対派がアレルギー反応を示したのがきっかけです。これも当初は平和的デモ行進などで反対の意思を示したのですが、5月1日のメーデーをきっかけに暴徒化し、破壊・略奪・暴力行為に及んだのが大きく報じられました。
私はコロンビアにおける国政参政権を持っていませんので、既に廃案となった増税案に反対・賛成を述べる立場にありません。ただ第三者的に見ればコロナ禍において現政府は経済が停滞を続けていて歳入減にある中で貧国層への金銭面での補助(金額が少ないという意見は無視)、企業への給与補填、コロナワクチンの積極的確保その他の政策を実行しており、多額の国費を支出した埋め合わせはいつかどこかで行わなければ、財源は黙っていても湧き出る訳ではない筈です。増税反対を声高に叫ぶ人達はコロンビアという国が今後発展する為に必要な「財源」をどう確保するか、その妙案を確実に持った上で抗議しているのか知りたい所です。何も対案がないまま、喫緊の増税は大反対だとだけ叫ぶのは単なる「駄々こね」に過ぎません。増税で苦しくなるから嫌だ、でも公共サービスその他の向上はすべきだというのは無理強いです。
暴力的行為について、かなり多くの報道機関その他は政府側(治安機関)の過剰な制圧行為・果ては弾圧と非難しています。私は政府側の人間ではありませんので政府寄りの意見を述べる訳ではなく「一般市民」としての意見を述べます。今回の争乱で多数の死傷者・逮捕者が出ていますが、大半の市民はデモや治安部隊との交戦に参加している訳ではなく、事態を静観していました。デモに参加しなければ余程の事がない限り怪我などに巻き込まれる事もない話です。特に許せなかったのはデモのどさくさに紛れての破壊行為・略奪・暴力行為です。
私はボゴタ市民の足である「トランスミレニオ」利用者でもあります。そのトランスミレニオも暴徒によって駅や車両が破壊の限りを尽くされ、一部の路線のみ運行していますが大半は寸断されています。これらを破壊したのは間違いなくトランスミレニオを普段利用している人達の筈です。つまり自分達が自らの足を破壊してしまったという事です。この事態に全く影響ないのは普段からトランスミレニオを全く利用しない富裕層・若しくはマイカー利用(所有)者のみであり、大半の市民は大打撃を受けています。その中には低所得者層でボゴタの外れから勤務先に出勤している人達も多く、人によっては通勤に片道二時間近くかかる事態にもなっています。
また、道路封鎖により市外からの食料品その他の物流にも影響が出ており、食料品の価格高騰・若しくは枯渇を招いています。この影響を受けているのは貧困層から中間層など幅広い市民、そして封鎖を仕掛けた人達にもブーメランとして跳ね返っている筈です。農家は増税で苦しむくらいなら作った農作物が売れなくとも構わないと言っている人もいる一方、丹精込めて作った物を街道上で販売している農家の人達もいます。
日本を含め報じられている内容のかなり多くは政府側の対応を非難・批判するものです。その中において私は親政府・反政府いずれでもなく、貧困層・富裕層のいずれでもない「普通の一般市民(正確にはコロンビア在住外国人)」です。今回のデモに無関係・無関心の人々の大半はただただ「デモ騒動前の元の生活、そしてコロナ禍前の生活を取り戻したい」と願っているのではと個人的には思っています。
私はジャーナリストではありませんので、デモの現場に出向いたり破壊行為の画像を撮りに行く事は避けています。また、他記事の引用は否定はしませんが自分はあまり使用しませんので、今回の投稿は文面のみとなりました。
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