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2021年5月

大規模デモから一ヶ月

コロンビア国内各地で発生している大規模デモから一ヶ月が経ちました。未だ終息の気配は全く見られません。この間、国内の経済活動は悲観的水準まで停滞しています。現在まで続いている反政府デモの参加者は若者や左翼系グループ・労働組合や失業者などが主となっています。
私は主張する事自体を否定するつもりはありません。コロンビアにおけるデモ活動は事前申請により合法的に認められる行為です。しかしながら現在の反政府デモはもはや前述の人々の憂さ晴らしの場と化しています。デモによって何を主張したいのか・どうすればコロンビアが発展する事が出来るのか・そして基本的な話としてどうすれば解決出来るのか、それらについて全く報じられていません。


他方、それまで静観し続けていたいわゆる一般市民もついに動きました。反政府デモ反対・暴力行為反対を訴える平和的デモが首都ボゴタやメデジン・カリなどで同時に行われました。参加者達は無抵抗を象徴する白シャツで行進し、現在も続く大規模反政府デモや破壊・暴力・略奪行為を非難しました。もう黙っていられないという思いだったのでしょう。


対してこちらは反政府デモ活動の様子です(カリ市)。これはもはや「暴動」であり、デモとはとても言えません。明らかに破壊・略奪行為をしています。信号機を倒したり電柱を倒して電線をショートさせたり、焼き討ち・交番襲撃+略奪などやりたい放題です。また銃声音が聞こえますがこれは治安部隊側ではなく暴徒達が発砲しているものです。二つのデモの様子は明らかに異なります。参加者も平和的デモの方は成人・中高年齢者層が多いのに対して、反政府活動者は若者が大半です。反政府活動者はこの行為によって何を主張したいのか理解不能です。経済格差・社会格差・失業や政策に対する不満は多くの人が持っていると思いますが、それを暴力行為で表現するのは論外であり、それらが理由だと実力行為で示すのはこじつけに過ぎず全くもって許せない話です。自分の家や職場・利用している駅や自分の店、丹精込めて作った農作物などを破壊・略奪された人々の身になってみて下さい。
コロンビアという国が独裁政権・軍事政権・国家破綻いずれかで将来の展望が見出せず、そこから脱したいという事での実力行為であれば理解出来ますが、私も含め多くの人々は富める者も貧しき者もそれ相応の生活をしています。不満を暴力行為で表す事を黙認・若しくは勇敢な行為と褒めるなど到底認められません。政府はデモ活動をしている人達の声を聴け・若しくは聴くべきだというコメントもありますが、それでしたら大多数の国民を納得させるだけの意見・主張・対案を早急に示すべきです。しかし人々を納得させる「声」は殆ど聞いた事がありません。

反政府活動を暴力的ではなく平和的に行っている人々もいるのも事実です。ただ、全てではないのですが報じられている映像・画像を見ると「マスク非着用」のケースが多々見られます。コロナ禍でマスク非着用・ワクチン未接種で大人数が密集すればどうなるか、答えは明白で大規模デモ勃発以来「新規感染者大幅増」です。人口が日本の約40%・5,000万人のコロンビアにおいて日々の感染者が20,000~25,000人は異常です。日本に例えれば一日あたり約65,000人前後が日々感染しているという驚愕的数字です。これもまたデモ活動の弊害と言えるでしょう。

コロンビア国内のデモ(というよりももはや憂さ晴らしの場)が終息するにはまだ時間がかかりそうです。人権保護団体やいわゆる人権派その他は政府の暴力的制圧行為ばかりを追求する傾向が見られますが、他方で「普通に生活する権利」それも「人権」です。一日も早く普通に生活出来る日を心から待ち望んでいます。

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左傾化するコロンビア、秩序なき抗議

前回の投稿で現在も収拾の目途が立っていないコロンビア国内でのデモ活動等に対する私の個人的見解を述べました。一時のような大規模争乱はなくなったものの、現在も大小さまざまなデモや一部地域での道路封鎖などが続いていて事態終息の気配は全く見られません。
このような抗議活動が続いている結果、先日コロンビア国債の格付け格下げ(投資不適格扱い)・そして6月に開催予定のサッカー・南米選手権(Copa America)におけるコロンビアでの準決勝・三位決定戦・決勝開催が剥奪されました。

ちょうど20年前の2001年コロンビア大会の際には反政府ゲリラの影響で複数国が懸念を表明し出場を辞退・あろう事か大会期間中にコロンビアサッカー協会会長がゲリラに誘拐される事態が発生しました。この時には国民の怒りが爆発し、ゲリラ側もさすがにまずいと思ったのがすぐに解放し、大会は開催国コロンビアの優勝で幕を閉じました。しかし今回は度重なるデモや暴力・破壊行為を繰り返した事で南米サッカー協会がコロンビアにおける開催権を剥奪と決定しました。

コロンビア国内の混乱は前回コメントした通り当初は増税反対が大義でした。しかし今やデモに参加する人々は何に対する反対なのか、何を求めているのか、どうすればコロンビアという国が発展出来るのか、まるでバラバラです。ある人は「マリファナを合法化しろ」と自ら大量のマリファナをくわえながらデモ行進に参加していたり、格差是正・地位向上などそれぞれが好き勝手に主張する場になっていて、もはやうっぷん晴らしの場と化しています。

前述のサッカー・南米選手権関連では個人的に今年大一番の仕事を受ける予定でしたが、開催国剥奪により全てが吹っ飛びました。悲しいを超えて怒りが収まりません。これは私の個人的意見ですが、コロンビア国民にとってサッカーは「三度の飯よりも好き」な人もいようかと思います。前回20年前と同様、大きなイベントを通じて国民が一つになり、コパアメリカによりホテルや輸送その他様々な関係者が潤う又とない機会だった筈です。それを反政府デモや道路封鎖などを続けている人達はぶち壊してしまいました。

今や誰もが感じている筈ですが、コロンビアはここへ来て「左傾化」が進んでいます。昔の脅威は長年反政府ゲリラに対するものでしたが、現在の脅威は極左思考に賛同する国民が着実に増えてきている事です。来年行われる大統領選によりそれがはっきりしますが、現時点では極左系の候補が優位とされています。未だに解決の目途が立たない反政府・抗議活動と相まって今後が憂慮されます。



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コロンビアで起こっている事態についての見解

コロンビア国内で起こっているデモ・争乱については、コロンビアに関係している方々・関心を持たれている方々は既にご存知の事態となっています。これについて首都ボゴタに在住している私自身の個人的見解をここに述べたいと思います。

既に報じられている通り大規模デモ・争乱について、当初は「増税反対」がきっかけでした。これについて一部の報道機関や自称ジャーナリストと言っている人々は「コロナ禍の増税」と表していますがこれは「間違い」です。現在のコロナ禍真っ只中に増税をするという事ではなく、ワクチン接種などを前提に「コロナ禍終息後の景気回復」を見込んで「来年2022年からの段階的増税」を検討した事に反対派がアレルギー反応を示したのがきっかけです。これも当初は平和的デモ行進などで反対の意思を示したのですが、5月1日のメーデーをきっかけに暴徒化し、破壊・略奪・暴力行為に及んだのが大きく報じられました。

私はコロンビアにおける国政参政権を持っていませんので、既に廃案となった増税案に反対・賛成を述べる立場にありません。ただ第三者的に見ればコロナ禍において現政府は経済が停滞を続けていて歳入減にある中で貧国層への金銭面での補助(金額が少ないという意見は無視)、企業への給与補填、コロナワクチンの積極的確保その他の政策を実行しており、多額の国費を支出した埋め合わせはいつかどこかで行わなければ、財源は黙っていても湧き出る訳ではない筈です。増税反対を声高に叫ぶ人達はコロンビアという国が今後発展する為に必要な「財源」をどう確保するか、その妙案を確実に持った上で抗議しているのか知りたい所です。何も対案がないまま、喫緊の増税は大反対だとだけ叫ぶのは単なる「駄々こね」に過ぎません。増税で苦しくなるから嫌だ、でも公共サービスその他の向上はすべきだというのは無理強いです。

暴力的行為について、かなり多くの報道機関その他は政府側(治安機関)の過剰な制圧行為・果ては弾圧と非難しています。私は政府側の人間ではありませんので政府寄りの意見を述べる訳ではなく「一般市民」としての意見を述べます。今回の争乱で多数の死傷者・逮捕者が出ていますが、大半の市民はデモや治安部隊との交戦に参加している訳ではなく、事態を静観していました。デモに参加しなければ余程の事がない限り怪我などに巻き込まれる事もない話です。特に許せなかったのはデモのどさくさに紛れての破壊行為・略奪・暴力行為です。

私はボゴタ市民の足である「トランスミレニオ」利用者でもあります。そのトランスミレニオも暴徒によって駅や車両が破壊の限りを尽くされ、一部の路線のみ運行していますが大半は寸断されています。これらを破壊したのは間違いなくトランスミレニオを普段利用している人達の筈です。つまり自分達が自らの足を破壊してしまったという事です。この事態に全く影響ないのは普段からトランスミレニオを全く利用しない富裕層・若しくはマイカー利用(所有)者のみであり、大半の市民は大打撃を受けています。その中には低所得者層でボゴタの外れから勤務先に出勤している人達も多く、人によっては通勤に片道二時間近くかかる事態にもなっています。

また、道路封鎖により市外からの食料品その他の物流にも影響が出ており、食料品の価格高騰・若しくは枯渇を招いています。この影響を受けているのは貧困層から中間層など幅広い市民、そして封鎖を仕掛けた人達にもブーメランとして跳ね返っている筈です。農家は増税で苦しむくらいなら作った農作物が売れなくとも構わないと言っている人もいる一方、丹精込めて作った物を街道上で販売している農家の人達もいます。

日本を含め報じられている内容のかなり多くは政府側の対応を非難・批判するものです。その中において私は親政府・反政府いずれでもなく、貧困層・富裕層のいずれでもない「普通の一般市民(正確にはコロンビア在住外国人)」です。今回のデモに無関係・無関心の人々の大半はただただ「デモ騒動前の元の生活、そしてコロナ禍前の生活を取り戻したい」と願っているのではと個人的には思っています。
私はジャーナリストではありませんので、デモの現場に出向いたり破壊行為の画像を撮りに行く事は避けています。また、他記事の引用は否定はしませんが自分はあまり使用しませんので、今回の投稿は文面のみとなりました。

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孫として祖父の足跡を残す

高齢の両親を持つ私もそれなりの歳になり、コロナ禍で自宅にいる事が多い私自身が南米に興味を持つきっかけとなった祖父の足跡を少しでも知ろうと、色々と調べている所です。私が知っている所では第二次世界大戦前に若くしてブラジル・サンパウロの日本総領事館に赴任・勤務、その後も海外勤務が続き在インド日本大使館副領事、ポルトガルや東ティモールにも赴任した事、外務省退職時には中南米局に在籍していた事は把握していました。祖父母は既に他界しており、母は祖父の在職時まだ幼子だった為、祖父の足跡を全く知りません。
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そんな中、国立公文書館に保存されている公文書が先日公開され、祖父が在職中に叙勲を受けていた事を初めて知りました。職位が拓務省通訳官とあります。拓務省とは戦前に存在した機関で、祖父が外務省から転籍した拓務省で在籍したのは南米課(南米への移民政策を担った局)のポルトガル語通訳官だったようです。祖父はサンパウロ総領事館勤務を経て、後に拓務省発行「ブラジル共和国民法」編纂に携わっています。この叙勲に関する公文書の存在はそれまで全く知りませんでしたので、一定の期間を経て公開されたのでしょう。
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そして更に先日、1938年(昭和13年)3月19日サンパウロ・聖州新聞社発行の「聖州新報」がネット上で公開され、祖父が在サンパウロ日本総領事館に再着任した記事が掲載されています。一度ならず二度もブラジルに赴任した事も今回初めて知りました。最初の赴任時は神戸から「らぷらた丸」で40数日かけてリオに到着、その後サンパウロに着任しましたが、二度目は「りおでじゃねろ丸」だったようです。
更には1931年1月1日発行の「南米新報」には新年の挨拶として在サンパウロ日本総領事館一同の名が列記され、その中に祖父の名もありました。
祖父に一番近いのが従兄弟で、農林水産省時代には二度OECD日本政府代表部に派遣され、省内で10人(多分)が選抜される国際交渉官としても働いて海外を飛び回っていました。

両親や叔父・叔母はいずれも高齢であり、かつて祖父がいた南米大陸に住んでいる孫である私が戦前・戦中・戦後という激動の時代に外交官として仕事をした祖父の足跡を少しでも親族に伝え、後に残すつもりでこれからも公文書や公表された記事などを探し求めて行くつもりです。

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