コロンビア民芸品博覧会2018
毎年12月に行われる「コロンビア民芸品博覧会」今年も行ってきました(12月15日まで開催)。この博覧会ではコロンビア各地で伝統的に作られている手工芸品が首都ボゴタに集まる滅多にない機会です。
コロンビア民芸品博覧会には国内各地の優れた手工芸品の他、それらを作る先住民の人々も首都に集まってきます。普段ボゴタで先住民の人々の姿を見る事は滅多になく、その点でも貴重な機会です。博覧会では展示品を購入する事も出来、いわゆる掘り出し物も見つかります。
こちらはコロンビア最北・グアヒラ半島一帯に昔から住んでいるコロンビア国内最大(最多)の先住民族・Wayuu族の女性が編むバッグの数々です。カラフルなこのデザイン、私は当初これは機械編みかとおもっていましたがそうではなく、現地の女性が一から手編みをして二週間前後から一カ月もの時間をかけて作る秀作です。Wayuu族は子孫を残し、手提げバッグその他の手工芸品を作る技術を持つ女性優位の社会です。
昨今このWayuuバッグは日本でも販売されるようになりました。手先が器用なWayuuの女性ですので、デザインや色合いなどの好みを伝えれば希望に応じたものを作ってくれます。Wayuu族は普段県都リオアチャからかなり離れた砂漠地帯などに住んでいて首都に来ることなど滅多にありません。その点で彼女達と商談も出来る絶好の機会がこの博覧会です。
実の所、この民芸品博覧会会場では作品(商品)を撮影する事はあまり好ましくないようで、先住民族をあからさまに撮影したり、秀作を撮影していると拒否される事もあります。その為撮影した画像は多くありません。その中でとても質が高い品々を幾つか紹介する次第です。画像はカリブ海に近い内陸部の先住民族が葦の茎を使って編み上げている壺その他です。壺についてはとても大きなものもあり、独特のデザインと共に優れた逸品と言えます。
このコロンビア民芸品博覧会には先年からJICA(国際協力機構)が支援している「一村一品」プロジェクトも出展しています。左からLa Chamba(黒陶器で有名)、Tuchin(葦の茎を使って編み上げたブレスレットやソンブレロで有名)、Mompox(世界遺産の町、フィリグラーナという金・銀を非常に細かく加工した品で有名)です。JICAの一村一品プロジェクトはこの他国内の複数地域において展開しています。こちらのブースはパビリオン6の入口付近にあります。
こちらはエクアドルとの国境に位置するナリーニョ県で伝統的に作られている「モパモパ」です。左側の作品ですが、カラフルな色は塗装しているのではなく、実は「モパモパの木」の樹液を煮詰めて色付けし、手と口を使って薄く延ばしたものを小さく切っては素材に貼るという非常に手間のかかる工程の集大成です。コロンビア国内に現存する民芸品(手工芸品)の中でもとりわけ芸術性の高い秀作です。
壺や皿の周りを囲んでいる色の部分は全て事なる色のモパモパの樹液膜を切り貼りしたもので、中サイズのもので約一万円前後、大きく色使いの多彩な秀作ともなれば一点数万円します。右の黒い物体・これがモパモパの木の樹液の塊(かたまり)で、これを煮ながら色を付け、その後手と口を使ってグイっと薄い膜にした後に小さく切って使います。
現在、モパモパの木が減りつつある事、モパモパ職人の数も減ってきている為、将来的にこのモパモパ細工は消滅の危機に瀕しているようです。その点でとても希少価値のある逸品です。
会場にはフードコートもあり、コロンビア国内で作られる伝統食品などを味わう事が出来ます。中画像は先住民族・コギ(Kogui)族が作っているオーガニックコーヒーです。白い帽子を被った男性こそがまさにコギ族の方です。現地に行くと本当にこのような姿をしたコギ族に出会う事が出来ます。そして右画像は珍しいヤギの乳を使ったチーズその他の製品販売コーナーです。
コロンビアの優れた手工芸品は一部を除いて日本人の方々には全く知られていません。しかしながらこの国、実は「隠れた民芸品大国」なのです。
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