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2009年8月

南米コロンビア版ピサの斜塔?首都ボゴタ・Lago地区

大昔の首都ボゴタは湿地帯だったらしく、大分以前に日本のJICA(国際協力機構)が地下の状況を調査した所、大規模な地下水が眠っていると聞き及んだ事があります。大都会ボゴタの広域にわたって「岩盤」というものが数百メートルの地下までなく、その為超高層ビルや地下鉄が敷設できないという事情も聞き及びました。

そんなボゴタに"Lago"(英語でLake・つまり湖)という地区があります。この一角は「ボゴタのアキバ」と称され、PC関連ショップがずらっと軒を連ねているのですが、このLago地区に並ぶ建物の傾き方が尋常ではなく、それが故に今回のタイトルを「南米コロンビア版ピサの斜塔?」と名付けたほどです。下記に表示される画像をクリックすると拡大表示されます。

Img_2676_2 まずは右側の青色の建物。見てすぐに分かりますが、建物が右下にずれています。建物が真四角ではなく「変形ひし形」になっているのがはっきりと見えます。建物の1階部分にはPC関連消耗品ショップがありますが、2階から上は使用されている形跡がありません。

Img_2682_2 これもまたすごい!各建物の1階部分にある看板の並び方が平行ではないのが一目瞭然です。それだけではなく、建物自体もあるものは右に傾き、あるものは歩道側に傾斜しています。凄すぎると思いませんか?これ。よく見ると画像の中央部分に向かって「窪んでいる」ように見えます。この建物群も1階部分は「有効活用」されているものの、上階の部分には空室が目立ちます。そりゃ、当たり前だ!

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この建物ですが、見ての通りです。真ん中の部分からバックリと割れてしまっています。そして左右が「非並列」であり、段差が出来てしまっています。これはハッキリ言って「凄すぎ」です。聞いた所では、これは昨年5月に首都ボゴタでも体に感じた「震度3~4」程度の地震による被害のつめ跡です。日本にお住まいの皆さんでしたら「は?そんな程度でこんな事になるの?」と思われる事でしょう。私が更に驚いたのは、下から2段目の窓に見える「VENDE」の張り紙です。そう、こんなすさまじい状態にも関わらず、この一室を「売っている」のです。すさまじい商魂のコロンビア人・・・呆れて、いや、失礼。恐れ入って言葉が出ません。

Img_2678_3 Img_2680_2 この二つは、地盤沈下と建物の傾斜が著しいLago地区の中でもひと際目立つ、見方を変えるとある種「芸術的」な建物です。画像ではよく分かりづらいかもしれませんが、他の建物に比べても傾き方が半端ではありません。右の画像にて比較すると、左端に僅かに見られる赤レンガの建物を垂直の基準とし、習性上まっすぐに伸びている木と比較すると、明らかに建物自体が歪んでいるのが分かるでしょう。

Img_2685 Img_2687 二つの建物の傾き方が半端ではない事が、この画像から見てとれます。画像の向こう側にあるレンガ色の建物と比べて、緑の外壁・そして手前の建物が右下へ沈み込んでいるのがお分かりになる事でしょう。この状態のまま維持し続けているのが奇跡のように思える程です。現場で実際にこの建物を見るとそう感じます。日本の建築関係者・特に耐震技術関係の方がこの地区を訪れたら、目が点になるかもしれません。

Lago・湖という名前の通り、ここは昔湖だったようです。その為か他の地区に比しても極めて地盤が軟弱で、それが故に建物の傾き方が半端ではありません。首都ボゴタを震度5程度の地震が襲ったら、まずこの一帯が壊滅する事でしょう。幸いにして私がこの地に住んでおよそ12年間、そんな規模の地震に遭遇した事はありません。建物がこの角度で長年維持できているのもそんな幸運に恵まれているからでしょう。

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最後にこの画像です。建物が弓なりにしなっているのがお分かりになる事でしょう。正確には向かって左下に沈み込んでいます。左側にある継ぎ目が裂けていますね。左側に隣接しているのはカフェテリアですが、この建物が維持できているのは左の建物に寄りかかっているからで、ここが空き地になってしまったら・・・ちょっと怖いですね。そんな「傾斜した建物」が並ぶLago地区の紹介でした。

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ボゴタ空港新ターミナルビル

Img_2566_1_2現在運用中のボゴタ空港メインターミナルの画像です。完成から40年以上の歳月が経過しており、30年前にこの空港を利用された方、私のように20年近く前に初めてこの地を踏んだ者、そして10年前にこの空港を利用された方など、いずれもこのターミナルの外観が変わっていない事に気が付く筈です。唯一、昨年に至りエントランス部分に屋根が取り付けられ、ちょっとだけ変わりました。

Img_2522 あまりにも老朽化が著しく、中南米では有数の2本の滑走路を持つ「大空港」には不釣合いなターミナルビルの大改修話が沸いては消えという論議を繰り返した末、ようやく着工が開始されました。ターミナルビル二階部分に完成模型がお目見えしたので撮影したのがこれらの以下の画像です。最初はAvenida El Doradoから空港ターミナルビルへ向かう様子です。

Img_2515 Img_2520 新ターミナルビルはどうやら3層で構成されるようです。手前部分は車両と旅客が接する場、中部分は各社チェックインカウンターがあり、旅客以外でも立ち入れる場、そして最奥部分は旅客のみが移動するエリアでしょう。ターミナル全体が随分と大きくなる模様です。ざっと見て現状の5倍近くなるのでは。右画像に見られますが、新交通システム・トランスミレニオの駅も設置されるようです。白の筋が並んでいるのは、天井の蛍光灯がガラス越しに反射されている為です。

Img_2521 ボーディングブリッジ(搭乗橋)がコの字型になっている構造は現在と同様です。現在は向こう側が「国内線」そして手前が「国際線」のエリアです。飛行機の模型をよく見ると分かりますが、コの字の内側にあるのは小・中型機で、大型機は外側にあります。白線の形も同様です。構造上、大型機は現在と同様、内側には駐機できないのでしょう。大型機は主翼が他機に接触してしまう為、このエリアは必然と中型機以下が発着する場所になりそうです。

Img_2523_2 一方、ターミナルの長い部分にはエアバスA340とMD-11等のワイドボディ機の模型が並んでいます。もしかするとここが「国際線」エリアになるのかもしれません。これでしたらプッシュバック(後方牽引)も楽々です。何年後に完成するのか分かりませんが、この模型を見る限りでは長年の悲願であった「大空港化」が実現しそうです。先年には日本よりも先にエアバス巨漢機・エアバスA380が当地ボゴタへ試験飛行で飛来し、悠々と飛び立って行きましたが、それに見合うだけの大空港の要素は備わっており、あとは旅客ターミナルの完成を残すのみです。

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Img_2517 左画像に見られる「更地」が、数年後には巨大な旅客ターミナルに変身している事でしょう。この画像は後年には貴重になる筈です。そして右画像は模型を見ながら数年後の完成を夢見るAvianca航空地上職員です。帽子をかぶっているのは、この日がコロンビア独立記念日で特別のスタイルだった為です。このお嬢さん方が生まれる前から現在のターミナルビルの外観は全く変わっていないので、大空港を夢見るのも当然でしょう。

しかし私はこの模型を見てすぐに気が付きました。最初の画像にある「屋根」、そしてボゴタ空港をご存知の方なら、二番目の画像に「プエンテアエレオ(Avianca航空国内線専用ターミナル)」がない事に気が付く筈です。これらの設備は最近大規模な改修を終えたばかりです。現在プエンテアエレオがある場所は、模型上では「駐車場」になっています。画像に写っている兄ちゃんに聞いてみました。

今のこのターミナルとプエンテアエレオ、どないするん「うん、ぶっ壊すみたい」

                   は ぶっ壊すって・・・

せっかく大改修工事を終えたばかりなのに、ぶっ壊してしまうとは。その費用は「旅客負担」という事で、現在も高額の空港使用料を払い続けているというのに。加えて数年後に巨大な旅客ターミナルが完成したら、その費用の元を取る為には・・・いや、今考えると夜眠れません

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続・ボゴタの屋台

公約()通り、またしてもボゴタの屋台に並ぶ品の数々をご紹介します。

Img_2653 Img_2652 こちらは"Avena"と呼ばれる麦芽飲料です。市販のパック入り容器の外側には何故か"Oatmeal(オートミール)"との表記があります。このAvenaはどろっとしたとても甘いものです。表現が難しいのですが、「飲むミルクキャラメル」のような感じです。鍋の中には大きな氷がドカッと入っており、そのまま放って置くと成分が分離する為か、絶えずかき混ぜる必要があるようです。何故ここまで甘いのか分かりませんが、素朴な甘さです。冷たいAvenaの屋台は暑い地方では道端でよく見られるます。

Img_2644 こちらは"Merengon(メレンゴン)"と呼ばれる甘いお菓子です。生クリームたっぷりのケーキのように見える表面は、「メレンゲ」に由来する名前なのでそれを使っているのでしょう。昼食時から午後になると軽トラックの荷台を使ってこのメレンゴンを道端で売っている光景を見かけます。私はまだこのMerengonを一度も口にした事がありません。甘さは多分コロンビア人好みの相当甘いものでしょう。

Img_2649 Img_2654 串に刺さった牛肉の先端にじゃがいもが丸ごと1個突き刺さっています。これは"Pincho"と呼ばれるものです。私はかつて20年前位に初めてコロンビアを旅行した際、スペイン語がよく分からずに何を食べたらよいのか迷っていた際、夜の屋台でこのPinchoを食べたのを思い出しました。その後は一度も口にしていません。店によって漬け込むタレの調合具合が違う筈ですから、味は微妙に異なると思います。

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Img_2624_2 これは一体何と思うほど、鍋の中身はすさまじい「ごった煮」です。見ると内臓のあらゆる部分やじゃがいも、Yuca(キャッサバ芋)などが一緒くたに煮込んであります。これを何と言うのか分かりませんが、この「ヤミ鍋」もセントロの客先に向かう途中でよく見かけるものです。内容からしてこれは「庶民の食べ物」のようです。無造作に放り込んだ内蔵の固まりはナイフで切り分けて皿に盛っていました。

Img_2650 こちらは主に公園などで見かける「アイス屋台」です。中には市販のアイスクリームやアイスキャンディなどが詰まっていて、日中の公園に出没します。引き手の人が手元にある「鈴」をチリンチリンと鳴らしながら歩くのが特徴です。この他にもう一つ"BON ICE(ボンアイス)"というアイスキャンディ専門のものもあります。こちらは円筒形の物の中に小さなアイスキャンディの袋を入れており、「ボナイ、ボナイ」と声を掛けながら歩いています。

Img_2658 そして最後は「マンゴースティック」の屋台です。表面が緑色の状態のマンゴーは硬くて酸っぱく、これをスティック状に切って塩をかけて食べます。手軽に食べられるという事もあり、大学の前などでよく見かけ、若い女性が買っていたりします。熟したマンゴーはトロッとした甘い口当たりですが、それとは全く異なる食感はちょっと異質です。

ボゴタ市内で見かける屋台の数と種類はまだまだ、こんな程度ではありませんが、とりあえずまた「一部」をご紹介してみました。

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シモンボリーバル公園(Parque Simon Bolivar)

20090808_img_0300 20090808_img_0265 20090808_img_0266四季のない当地ボゴタでも、先日ご案内の通り8月は「夏」という位置付けになっています。強い風が吹き、刺すような日差しの中、ボゴタ市内最大の公共公園である「シモンボリーバル公園」(Parque Simon Bolivar)を訪れました。折しもこの日は8月最初の3連休初日。多くの市民でごった返していました。中画像は公園の正面入口です。8月は凧揚げシーズンという事もあり、入口前には色とりどりのビニール製凧が並んでいました。その数は相当なものです。

20090808_img_0269_2 20090808_img_0271 シモンボリーバル公園に関する公式サイトが見当たらないので、一体どれ程の敷地面積なのかが分かりませんが、市民の憩いの場としては相当大きなものです。首都ボゴタは緑の多い都市ですが、その中でもこの公園は広大な緑地帯が一面に広がる素晴らしい場所です。人工池には足漕ぎの貸しボートが浮かび、ミサも行える集会場エリアの前には砂が敷き詰められていました。さしずめ「人工ビーチ?」「砂漠?」そんな感じです。そこでは青空エアロビクスが行われていて、多くの人が参加していました。

聞いた所では、このシモンボリーバル公園の設計段階で日本人の方の関与があったようです。その為、数年前に訪れた際には遊水地に「錦鯉」らしき姿が多数見られました。今回久しぶりに訪れてみると、遊水エリアは大部分が埋められていて、鯉の姿は全く見られませんでした。

20090808_img_0282 20090808_img_0279 20090808_img_0281 緑地帯には様々な色・形の「テント」が設営されていました。さすがにバーベキューをする人はいませんでしたが(禁止でしょう)、つかの間のキャンプ気分という事なのでしょう。しかしながら3連休初日のこの日はまるで「芋を洗う」が如く、多くの市民でごった返していましたから、テントの隣でサッカーをする人、凧を揚げる人など様々な光景が見られました。

20090808_img_0283_3 公園からはアンデス山脈の山々や、モンセラーテの丘も見る事が出来ました。3連休ではない普通の週末ですと人の数はもっと少ないかもしれません。画像は撮りませんでしたが、子供達の為の滑り台その他を備えたエリアもあって大人も子供も楽しめる市民自然公園としては素晴らしいものです。また、敷地内には野外コンサートも出来る会場もあり、遊歩道や自転車道なども整備されています。

この日はいずれも子供連れの韓国人・中国人、そして関西方面出身と思われる日本人の家族の姿も見かけました。週末の一時をこの広大なシモンボリーバル公園で過ごすのはお金のかからない・若しくは最小金額で済ませられる贅沢かもしれません。

私的には、離陸直後の様々な飛行機の姿を見ているだけでもここに来た甲斐がありました。関心のない方には「下らない話」ですが、昨今ボゴタではその姿を見る事がなかった大型機ボーイング777(トリプルセブン)が悠然と上昇を続ける姿を見られたのは幸運でした。

 

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首都ボゴタの夜景

日本から来訪された個人観光客のガイドとして、標高3,100mの"モンセラーテの「丘」"に"登頂"しました。下界のボゴタの街との標高差は600m程度ですが、海抜3,100mともなると毎回登っても息切れがします。 くぉらーっ!どこのどいつだ 「年のせいだ」なんて言ってるヤツは!

Img_2585 モンセラーテの丘へは10年以上の職務の中で何十回か行っていますが、恥ずかしながら「初めて」夕暮れ時に登りました。これはお客様からの強いご希望によるもので、今回の夕暮れ時の登頂は私にとっても良い経験になりました。見て下さい!この素晴らしい夕暮れ時の大都会・ボゴタの街並み!

Img_2583 これらの光景は全て首都ボゴタの中心部・セントロから南、そして西側の一部の光景です。広大なボゴタ大高原はこの展望スポットからその全容を見る事は出来ません。これでも半分程度です。太陽が落ちる頃に合わせて時間調整をした上で、モンセラーテの丘へ向かいました。ちなみに頂上へ向かう手段は「ケーブルカー」と「ロープウェイ」の二つがあり、このうちロープウェイは保守点検中だった為往復ともにケーブルカーを利用しました。

私自身今まで全く気が付きませんでしたが、前述の二つの輸送機関を利用する際には月曜日から土曜日までは毎日夕方5:30以降の利用について「夜間割増料金」が適用されます。私の推測では「モンセラーテの丘の夕方は人が少なくて寂しいだろうな」思っていましたが、とんでもない!平日の夕方だったにもかかわらず、それなりに人の姿がありました。皆が皆、この夕暮れ時から夜にかけての素晴らしい風景を目当てに来たのでしょう。

Img_2597 Img_2598 陽が落ち切って闇に包まれる寸前のこの風景が「最高」の場面だと思いました。お客様には失礼をお詫びして私も無我夢中になって何十枚という画像を撮影しました。夜景の撮影はかなり難しく、ちょっとの手元のブレにより上手い具合に記録されたのは数十枚のうち、たった数枚だけでした。カメラのプレビューでは全く判別出来ませんでしたが、いざPCに落としてみると意外とブレが激しく、それを予測してかなりの枚数を撮影したつもりでしたが、画像のブレは予想以上のものでした。

Img_2590 こちらはライトアップされたモンセラーテの丘の頂上付近にある教会と、ロープウェイの頂上駅の様子です。何十回とみた午前中の光景とは全く異なる、素晴らしい一コマです。撮影したこの場所の後ろには「Casa San Isidro」という昔の家屋を改造した内装が素晴らしいレストランがあります。更に素晴らしいのは内装だけではなく、ここから見る"下界"の夜景はそれはもう「超最高」この一言に尽きます。ここのディナーは最高の思い出となる事でしょう。

御客様にもお伝えしましたが、7月・8月のボゴタは乾期にあたり、強い風と共に排気ガスが飛ばされる為か、下界の風景がより素晴らしく映えます。100km近い遠くの山々まではっきりと望む事が出来る「最高の季節」が今まさにこの時期なのです。せっかくの夜景観賞も、下界が厚い雲や雨に遮られてしまっても、それは天候を恨む事は決して出来ません。その一方で今回来訪されたお客様はこの素晴らしい夜景にとても感動されたようです。私も感動しました。これでまた一つ、私の宝物・コレクションが増えました。コロンビアの観光名所の一つとして皆さんにこの首都ボゴタの素晴らしい夜景をご紹介します。当地コロンビアの旅行業関係者の一人として、もっと多くの方がこの国を訪れる事を願っています。

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