コーヒー豆輸出大国コロンビア・実はコーヒー豆輸入国
コロンビア国内、主に首都ボゴタではここ数年で僅かながら「自家焙煎」のコーヒーを飲めるようになりました。市内に椅子やテーブルを置き、コーヒーにケーキなどを出すカフェテリアが少しずつ増えています。実は私がこの地にたどり着いた当時(12年前)は、そもそも本格的なカフェテリアというものが殆どなかったのです。コーヒー豆の世界的生産大国・コロンビアにしては不思議な話でした。そんなコロンビア国内のコーヒー豆生産事情について、読者の皆さんはビックリするであろうニュースがこちらに掲載されました。
http://www.portafolio.com.co/economia/economiahoy/ARTICULO-WEB-NOTA_INTERIOR_PORTA-5299387.html
今年の1~3月の第一四半期においてコロンビアが"1,023万ドル"(およそ9.7億円)をかけてコーヒー豆を他国から「購入した」というものです。3月までで107,425袋、4月までの累計は167,000袋、そして驚く事に年末までに500,000袋を輸入するであろうと、コロンビア国立コーヒー生産者連合会(FNC)総裁が発表しています。一袋の単位が分かりませんが、60kgサイズとすると四月までの購入総量は何と!10,000トンにもなります。しかも、昨年2008年もおよそ2,000万ドル(およそ19億円)をかけて11,000トン以上のコーヒー豆を「輸入」していたのです。記事には「驚くなかれ、"買戻し"は5年前(2005年)から行っている」と記述されています。
更に、私のつたないスペイン語力が正しいのか分かりませんが、記事には「重要な供給元」として"ペルー""エクアドル"を挙げており、これはつまりこの両国から「金を払って両国産のコーヒー豆を輸入する」という理解です。コロンビアが他国産のコーヒー豆を金を払って輸入する・・・ちょっと信じられません。
コロンビアと言えば誰もが「コーヒー豆」を思い浮かべる事でしょう。そんなコーヒー豆生産大国・コロンビアは昨今世界第二位の座を「ベトナム」に奪われ、今年に至っては「大不作」に陥っており、ニューヨークでのコーヒー相場では現在1ポンド(およそ453g)あたり224セント(2.24ドル)という記録的高値となっています。通年はおよそ100セント前後で推移していますので、このような数字は聞いた事がありません。それだけ今年のコロンビアコーヒー豆の生産事情は深刻と言えます。
昨年も行った「逆輸入」ですが、私が以前FNC本部で聞いた話では「年間生産量およそ100万袋前後、そのうち国内消費分として20~30%は絶対的に確保し、余剰分を輸出に回している」との事でした。つまり国内で消費する分すら確保に窮し、輸出に回していた分を「買い戻した」のかもしれません。ニュース記事にある"輸入元"の中に「日本(Japon)」の文字があります。日本ではコーヒー豆は生産しませんから、おそらくそのような事情でしょう。
今年の大不作の理由は分かりませんが、ここ数十年で生産量が飛躍的に延びた一因となった交配苗木種・バリエダ(バラエティ)コロンビア(Variedad Colombia)の木から出来る豆が、日本の「プロのコーヒー関係者」の間から大ひんしゅくを買っています。これはバラエティの名の通り複数の苗木種を掛け合わせたものです。これにより一本の木から得られる生産量は相当増えましたが、逆に豆の品質・味・風味は決定的に劣化してしまいました。下記にそれを裏付けるコメントがあります。
http://archive.mag2.com/0000198972/20090324174409000.html
http://www.kohikobo.co.jp/modules/wordpress/index.php?m=20071009
http://www.cafe-pico.com/kisochishiki/kairyou.html
素人の私には事情が分かりませんが、品質向上よりも生産力向上に走った事で「自らの首を絞めた」コロンビア。それがFNCという国の機関が進めた「国策」の結果ですから、昨今のコーヒー豆逆輸入事情は・・・言葉に出来ません。もしかすると昨今の「地球温暖化」も影響しているのかもしれません。例年のコロンビア国内は3月頃から7月始めまで長い「雨期」に入り各地で水害が多発する時期なのですが、今年は5月終わりの時点でここ数週間全く大雨がありません。交配に交配を重ねたバリエダ・コロンビアの苗木が、環境の変化に疲れ切って実が成らないのかもしれません。
昨今品質が落ちたバリエダ・コロンビア木から出来た豆に辟易(へきえき)した中小のグリーン(生豆)輸入業者さんは、どうやら日本の商社を介さずに田舎の小さな農園と直接契約し、「原種・又はそれに近い苗木」から得られる少量の豆を求めて日々奮闘しているようです。バリエダ・コロンビアが年に2回の収穫が得られる「二毛作」であるのに対し、元々の苗木種からは年に1回しか収穫が得られないのでその分確保できる量も少ないですが、日本のプロの方はやはり「量よりも質」にこだわるのが本音なのでしょう。
他の国に比してコロンビアでは「国内で美味しいコーヒーが飲める」と評されてきましたが、もしかすると将来的には「国内産は全量輸出、国内消費用に近隣諸国から低グレード豆を輸入」などという事態も考えられそうな、昨今のコーヒー大国・コロンビアの事情です。





















最近のコメント