謎の無料新聞aDn
最近、朝の巷(ボゴタ)でちょっと変わった光景と言えばこの"aDn"(英語ではDNA)を配っているものです。最初は短期の「タウン情報紙」かと思って無視し続けていたのですが、「無料」にも関わらずっと配り続けているのでよく見た所、新聞でした。
試食品・試供品から政府援助までとにかく「タダ」には目がないコロンビア国民ですから、新聞が無料とあれば手を出さない筈がありません。私も昨今の"DMG(変則的なネズミ講組織)"の話題が気になっているので、ついに無料新聞aDnに手を出しました。左のトップ紙面はついにDMGが投資者へ返金できなくなった事を報じ、右画像はDMGの創始者が警察に逮捕・護送されている光景です。
DMG問題は最近の国内ニュースで断トツの話題です。いろいろと話を聞くと、このDMGはいわゆる他のネズミ講組織とはちょっと異なるようです。DMGという組織はどうやら国内最南部のプトゥマヨ(Putymayo)県でおよそ10年前に発足したらしく、当時経済基盤が全くない現地で唯一の「産業」だったのが「コカイン製造・流通」の拠点としてでした。つまりこのDMGはプトゥマヨを拠点とした"麻薬資金洗浄"目的のダミー組織です。その為当初から豊富な資金を使って二重帳簿や投資会員に様々な特典を施していたのが他の詐欺的ネズミ講と異なっていたようです。
で、実際にこのaDnの紙面を広げると、これが無料にしてはあまりにも内容が豊富なので思わず「へぇっ」と唸りました。とにかく写真が豊富で読み易い。無料だから大した記事はなさそうと思っていたのは大間違いで、政治・経済・国際情勢からボゴタのグルメスポットの紹介などなど実に内容が濃いのです。グルメスポットなどは、"○○の美味しい店"がこれまた写真と共に住所まで記載されており、これは嬉しい。
この日は就航40年を迎えた海軍所有の実習訓練帆船"Gloria"号について紙面一杯に図面を施し報じていました。これは凄すぎる・・・他にも「読者に役立つお得な情報」等々、今までこの種の記事は見られなかっただけにとても斬新さを感じます。
しかしこれからが本題で、これだけ豊富な記事・写真を提供しながら「何故」無料配布を続けているのか、これが実に不思議です。紙面では「スポンサー」会社の目立った広告は見当たらず、月~金曜日の朝に配布員まで動員して配り続ける事でそれなりの経費が更にかかっているのですから、それに見合う「メリット」はあるのか?
更に驚いたのが、謎のまま紙面を隅から隅まで見た所、なんと!この新聞の「編集長」は、大手にして唯一の全国紙"EL TIEMPO"の人では。EL TIEMPOと言えば毎日「有料」で新聞を売っているコロンビア最大の新聞社です。一方で有料・一方で無料で新聞を発行する理由がさっぱり分かりません。
とにかく私も「無料」であり続ける限り、このaDnを見続ける事にします。昨今ではこの無料新聞を「受け取るのが当たり前」と思っている人達が大部分になってしまった程、ボゴタの朝の光景として加わっています。
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