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2008年6月

コロンビア先住民の金製品が黄金の国・ジパングへ

                             「デタァ~」

というのが正直な感想ですね。先日ご案内しました、東京・国立科学博物館で開催される「黄金の国ジパングとエル・ドラド展」に向けて、コロンビアの国宝・黄金細工の数々が無事に当地を発ちました。

Policia01 事前に話は聞いていましたが、やはり「国宝」が動く為に機関銃を持った警察の特殊部隊が大挙して空港に到着し、黄金細工を詰めたスーツケースは航空会社のカウンターに立ち寄る事なく、そのままキャビン(客室)まで運ばれていきました。国宝が機体へ向かった後も暫らくはご覧の通り、空港ターミナル前に部隊の一部が残って睨みをきかせていました。想像はしていましたが、やはり凄い光景でした。

この日は博物館側の方で、警察・税関・空港当局に対する「国宝出国届」を用意してあったので特に混乱はありませんでしたが、自分としては当然初めての事でしたので、この日まで緊張が続いていました。「もしもトラブルが発生したら」と心配していたのは当然です。

いよいよコロンビアの至宝が「黄金の国・ジパング」の地を踏む事になり、あとは皆さんへのお披露目の日を待つばかりです。私はあいにく期間中に日本へ行く事はありませんが、多くの方々が「"エル・ドラド"の国・コロンビアの至宝」を目にされる事を願っています。

今回の仕事は私の11年間の職歴の中で金額もさる事ながら、受託内容としても最も重大なもので、人間様のVIPよりも難しい仕事だったと思います。食事もとらない「荷物」の為に座席を確保すること自体初めてでしたが、それが国家にとって「最重要品」である為、非常に気を遣いました。例え人間様の重要人物に関わったとしても、余程の事がなければコメントする事はありませんが、今回の件は一生の思い出に残る一つですので、気持ちがちょっと高揚している事も事実ですね

「日本・コロンビア外交樹立100周年」関連行事のうち、日本で開催されるイベントに関連していくつかにちょっとだけ関わらせて頂く事が出来、正直とても有難く思っています。仕事の方はこれからも続きますが、今回の国宝の搬出という特殊ケースで奢らず、原点に返って航空券一枚の手配から誠意を持ってお客様の方々に接したいと思います。

あっ、それと先日コメントしましたが、かれこれ昨年の10月から休暇を取っていないので、今月のいつか分かりませんが、数日「音信不通」にさせて下さいね

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絶対にコロンビアでしか食べられないオリジナルセビチェ

実はこの内容は以前から投稿したかったものです。"セビチェ(Ceviche)"といえば、ペルーを中心とした太平洋岸諸国でよく食べられている、いわゆる「マリネ」です。こちら←にセビチェの画像と作り方のレシピが紹介されています。さっぱりした味で私も「本場のセビチェ」は大好きです。

Ceviche_colombiano01_3ペルー・チリ・エクアドル・そしてコロンビアを抜けてパナマでもセビチェの姿はほぼ同じなのですが、コロンビアではなぜか他の国々と「全く」様相が異なるのです。まずはこの画像。どこの店でも同じなのですが、作り方はまずエビとタマネギのみじん切りに少量の「マヨネーズ」を加え、そこに何と!たっぷりの「ケチャップ」をドボドボと注ぎ込みます。その量たるや半端ではなく、画像にケチャップの瓶が見られますが、店によっては業務用の五リットルは入りそうなものを使っているほどです。ペルーの人が知ったら「嘘だろう・・・」と絶句する事間違いないはず。その後、ビネガー・オリーブオイル・ライムなどを入れてよーくかき混ぜて、はい、出来上がりです。前述の「ペルーのセビチェ」のレシピには、マヨネーズもケチャップも入っていませんから、これは間違いなく「コロンビアのセビチェ」(Ceviche Colombiano)です。

Ceviche_colombiano02

そして完成した「コロンビアのセビチェ」がこの画像です。この色!他の太平洋岸諸国に住んでいる方々や「本場のセビチェ」を食べた事のある方でしたらまず間違いなく絶句する筈です。色がケチャップそのものではなく若干薄いのは、マヨネーズが入っている為かも知れません。これを「魚介類のマリネ」と言うにはあまりにも無理があります。しかしこれは「子供のままごと」では決してありません。私は"ちゃんと"6,900コロンビアペソ(およそ460円)を払ったのですから。この金額は一番小さいサイズのものです。一番多い量ではこの二倍の金額です。ちなみにこの「コロンビアのセビチェ」は、山奥にあるボゴタだけではなく、例えば海岸沿いのカルタヘナその他国内どこの町でもこのスタイルです。ですので、ケチャップが品切れになるとコロンビアではセビチェが食べられなくなります。

Ceviche_colombiano03 こちらは別の「セビチェ専門店」で見かけたカクテル風に盛られたコロンビアのセビチェです。ちょっとお洒落ですが、よく見るとやはり「ケチャップソース」は欠かせません。日本のコロンビア料理店でこの「コロンビアのセビチェ」を提供しているのか存じませんが、少なくともペルー料理店でコロンビア風セビチェを出したら、店主は「ふざけるな!」と殴られるか怒鳴られるかでしょうね

私はテイクアウトしたこのコロンビア風セビチェを食べようか否か、実はこの時間迷っています。結果は・・・書かない方が良いですね。この間A型肝炎の予防接種を完了したので大丈夫だと思いますが。あっ、このコロンビア風セビチェは国内のスーパーでもパック入りで販売していますので、気が向いた方は「絶対にコロンビアでしか食べられない」のでお試しあれ。

次回のコロンビアグルメ編は「絶対にコロンビアでしか食べられない"大量のもやし入り"黒チャーハン」をご紹介したいと思います。

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黄金の国ジパングとエル・ドラード展

7月12日から9月21日まで、東京・国立科学博物館において「黄金の国ジパングとエル・ドラード展」が開催されます。開催概要は下記サイト

http://kingold.jp

をご覧下さい。コロンビアの至宝である黄金製品が海をわたってジパング・日本の地を踏む事になります。こちらは毎日新聞の記事←ですが、こんな事で厳選された黄金製品が日本へ向かいます。無事に「コロンビアの宝」が日本へ到着してくれる事を祈る毎日です。

今年は日本とコロンビアとの外交樹立100周年という事で、あいにく当地コロンビアでの記念行事には全く関係していませんが、日本側で行われるサルサグループ・LA-33が出演する記念コンサートやこの博覧会等、いくつかの大がかりな行事に関わる事が出来、ちょっと嬉しく思っています。

それにしても、今回のこの手配は本当に大変でした。今まで犬・猫・大型楽器の運搬等特殊手配はいくつか経験しましたが、"国宝"自体の取扱も初めてなら、それを貨物室ではなくキャビン(客室)へ"手荷物"として持ち込むなどという事例は当然初めてでした。世界考古学上貴重な品ですから、手荷物とはいえ「国家的重要物」ですので、関係する各空港では当然の事ながら「超貴重品扱い」として一切のセキュリティ検査を受けさせず、スーツケースの中に入る国宝を誰にも触らせないという事が条件となり、しかも規格外の手荷物をキャビンに持ち込む訳ですからコンパートメントには収まらないので、人間(博物館員)に帯同する形で国宝入りの手荷物用として数席用意して置き場所を確保するなど、何もかもが初めての事でした。

運搬を「指定」された航空会社側も座席に国宝が入るなど初めての事例で混乱し、そんな中で発券期限日は迫り、期限最終日はまるで「労使団体交渉」のような様相でした。こちらも臨戦態勢で「どう?」「うーん、難しい・・・」「頼むよ、国宝なんだから」時間が刻々と過ぎ、午後5時近くになって「本社も承認するだろう」との結果になった時には本当に嬉しかったです。

国宝が当地を出る日が近づいており、当日に強奪などあっては一たまりもありませんのでボゴタの金博物館から国軍の完全護衛により機内へ無事収まるまで私の緊張は続きますが、200点以上に及ぶコロンビアの至宝が無事に"ジパング"へ到着し、多くの方々に知って頂ける事を祈る毎日です。

文章の後半部分は後にいわゆる「回顧録」にもなりそうで、一部の方から批判を受けそうですが、私の今までの人生の中で「記憶に残る出来事」の一つになる筈ですので、この際批判など受け流す事にします。この件では本当に神経をすり減らしました。ブログの更新をする精神的余裕などなかったですね。この手配が無事完了した後には、もうぐったりする筈です。カリブ海に浮かぶ離島のサン・アンドレス島で数日「命の洗濯」をするつもりです。

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首都ボゴタ・救急医療事情

秋葉原での無差別殺傷事件は本当に痛ましいものです。亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。私自身、一時帰国中はよくあの一角に立ち寄ってPC周辺機器等を買い求めているので、他人事ではありません。

それとは異なる話ですが、休日を利用して滞っていた予防接種を受ける為に自宅付近の診療所を訪れました。ところが入口付近にはただならぬ雰囲気が漂い、家族とおぼしき人達が険しい表情の中、おろおろとしていました。そんな中で受付に「予防接種に来たんだけど」と申し出たところ、「先生が応対中なので待って下さい」と止められ、そんな中で分かった事は、何らかの重体患者が中にいて既に30分以上心肺停止状態にあるという事でした。そして診療所前には"ボゴタ首都区"所属の救急車が。

医療の素人、そして外国人の私から見ても「おいおい、ここは救急病院じゃないぞ」と思いながら事態を静観していると、どうやらその通りで、救急病院ではない為に必要な設備はおろか医師すらいない事が分かりました。「あんたら、市の救急車だったら何でもっと大きい所へ運ばなかったんだ?」と疑問に思っていた矢先に、息子らしき人が「くそーっ!死んだ!」その瞬間、家族は「ギャー!」とドアを蹴とばして診療室内へ。。。医師の到着をさんざん待たされ、挙句の果てに何の措置もなく。。。だったようで、悲鳴が上がった瞬間、私は予防接種などする事無く、診療所を後にしました。

この話の問題点は二つ。日本だったら"110""119"の救急電話はここでは一括して"123"なのですが、この救急サービスが昨今大問題となっています。先日現職の国会議員が委員会中に崩れるように倒れ、国会から緊急要請を出したにもかかわらず、数十分経っても来ない為に業を煮やした議員団が自ら総合病院に運び込んだものの、手遅れとなってしまいました。私の勤務先でも同僚女性のご主人が自宅で急変して123へ電話したものの、結局は「来なかった」のです。今回の件ではとりあえず来たようですが、なぜ救急指定の総合病院ではなく、私が休日の一時に予防接種に来るような「診療所」へ運びこんだのか?

私自身もこの救急車サービスでは散々な目に遭いました。日本では救急サービスは無料ですが、当地では他国と同様これらのサービスは原則として有料であり、市内には無数の「救急車会社」の存在があります。そしてかつて一年だけ契約をしましたが、今でも忘れない"Emermedica"という会社に緊急の要請をして自宅へ来てもらったのですが、簡単な問診の末に「ああ、これだったら最寄りの診療所へ行ってね。診断書を出すから」これで片付けられ、結局は連れて行ってくれなかったのです。その後更に事態が悪化した為、自らタクシーで行く羽目になり、翌年の契約を更新しなかったのは言うまでもありません。はっきりと申し上げましょう。救急車を呼ぶ位なら、タクシーを呼んで病院まで飛ばした方が「早い・確実」です。

次の問題ですが、受け入れた診療所側も、救急医療体制が「ない」にも関わらず、何故安請け合いをして受け入れたのか、これが最大の謎でした。事実、普段救急医療をしていない為に小さな診療所内では受付の女性から会計担当までが明らかに浮足立っており、仕事もおぼつかないほど動揺していたのがはっきりとわかりました。そして患者さんが亡くなられた瞬間には泣き出す始末・・・

私は"Colsanitas"という医療機関において"Medicina Prepagada"という契約をしています。"EPS"という日本でいうところの国民健康保険制度にも会社員である以上加入を義務付けられていますが、このEPSは掛け金が安いだけあって緊急事態に対する対応が鈍く、その為高額の掛け金であっても手厚い補償が受けられる制度を利用しています。事実、先年クリスマスイブの日に突然原因不明の胃痛と発熱に襲われ、Colsanitasが運営する総合病院へ駆け込んだところ、数時間の点滴の後に「念の為に入院しましょう」という事になり、結局クリスマス当日を病室で迎えました。

翌日には完治したので無事退院となりましたが、この間手厚い診療と完全個室での休養、そして病院食にしては豪華な食事を提供されて支払ったのは受診料の当時およそ500円程度だけでした。このMedicina Prepagadaというシステムは、簡単な診療から各種検査・重大な事態まで、とにかくどんな事例でも一回の受診料だけで対処するのが特徴です。毎月の掛け金がおよそ一万円とかなり高く、それ以外に受診料が一回ごとにおよそ1,350円程度かかりますが、今日の患者さんのような事態となった場合には非常に有効です。

今日は何となく気が重いです。たまたま行った診療所で目にしたのが、半ば「間違えて」連れて来られた上に緊急措置を受けられずに最期を遂げた患者さん、そして怒りと号泣でドアを蹴破った家族。ちょっと重苦しい内容になってしまいましたね。

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