2025年新年・コロンビアのカカオ農園見学
新しい年・2025年が始まりました。昨年は良い一年となり無事過ごす事が出来ました。
今年も特に大きな目標など立てず一日一日を有意義に・そして健康で過ごせるのが一番だと思っています。今回もお節もどきをサッと作り、お雑煮を作って食べる事が出来ました。例年ですとここにお酒が入るのですが今年は元日からガイド業務があり出張の為アルコール抜きで自宅を発ち3日間ガイドとしてコロンビア国内西部の世界遺産・大コーヒー地帯で過ごしました。
滞在したのは首都ボゴタの西にあるコーヒー地帯・キンディオ県とリサラルダ県でした。今回の主目的はコーヒー農園訪問ではなく、パイナップルやバナナ・アボカドその他様々な農産品を見る事で、それぞれの木々と鈴なりの実を目の当たりにする事が出来ました。その中で私自身最も驚いたのが視界一杯に広がる「カカオ」の木々と無数の実でした。
キンディオ県は標高約1,300mの高地にあり朝晩は若干冷涼な気候の為、元来カカオ生産にはあまり適さない地です。今回3日間の訪問で私自身として最も感動したのがこのカカオ農園で、こちらも先に訪問した日系人農家さん訪問と合わせて27年のコロンビア生活で初めて見た光景です。今までコーヒー農園はコロンビア国内各地でルビーのような赤い実が鈴なりの光景を何度となく目の当たりにしました。本件は車での移動途中で全くの偶然でしたが、視界一杯にカカオの木々が広がりそこには無数の実がまさに鈴なりの状態で驚く事しきりでした。
こちらの農園は個人所有で観光用として一般の人々を受けて入れている訳ではなさそうですので具体的な場所等の説明は割愛します。それでもどうしても広大なカカオ農園を知りたく、いわば勝手に敷地内に入ってしまった上で農園内にある邸宅にたまたまいた所有者のご家族に頼んで見せて頂きました。そして別の場所にいたのがカカオ農園で働いている画像の農夫さんのご家族で、実際カカオの木々を管理している農夫さんにも説明して広々とした敷地を案内してもらいました。
農夫さんの後を付いて農園内を歩き始めた所それまで見えなかった場所にも更にカカオの木々が広がり、あまりの広大さに二度驚く事になりました。農夫さん曰くこのカカオ農園は今から約7年前にそれまでコーヒーの木々があった所を開拓し、カカオの木々を植え始めて現在ここまで実が付くようになったとの事です。前述の通りここは標高が高い地ですので本来カカオ生産には不向きの筈ですが、ここまで成功したのは何と言っても世界的な兆候である気候変動が影響し、この地も数年前より気温自体が上昇している事が一因になったようです。
カカオの実の収穫は通常二週間に一度行うとの事です。左画像にある実のうち黄色がかってきたものがそろそろ収穫を迎え熟してきたものです。農夫さんが収穫に適した黄色の実を切って見せてくれました。手のひらと比較してカカオの実がいかに大きいかがお分かり頂けようかと思います。そして身を割ると中には白い膜がぎっしり詰まっていて、例えで言うとみかんの皮を剥いた時の中身のようにこの白い膜がそれぞれ独立していてその中に「カカオ豆」が入っています。この白い膜の部分は容易に剥がれ、口の中に含むと何とも言えない甘酸っぱいいわゆる果実の風味が口一杯に広がりそれは最高の贅沢で、このカカオの実がフルーツである事を実感した至福の味でした。
収穫した実から膜を取り除いた豆を室温40℃以上にもなる室(むろ)で約一週間発酵させます。確かに室の中はまるでサウナ室のようなムッとした熱い空気に包まれています。発酵させた豆はその後ビニールハウス内に移してこれも約一週間程度乾燥させます。右画像の乾燥中の豆の色は既にあのチョコレート色になっています。こちらも勿論自分としては初めて見た光景です。
乾燥中のカカオ豆を割って見せて頂きました。中は発酵・乾燥を経て完全に「チョコレート色」になっています。これを十分乾燥させた後に袋詰めをして出荷です。昨今カカオ豆の価格もコーヒー豆と同様気候変動の影響もあり高騰していてこの農園にも買い取りを希望する業者が時折訪れるとの事ですが、こちらの農園で収穫したカカオ豆は基本的には大手チョコレートメーカー(名前は割愛)との契約で卸しているそうです。
このカカオ農園内には一般向けに宿泊施設もあります。ここはまさに「隠れ家」的な場所で普通乗用車一台がやっと通れる急な坂道を上がった末にこの光景が広がります。広大なカカオ農園自体は観光客向けに開放出来るような整備は全くしておらず、それこそ「秘密の場所」を見つけたような高揚感を感じました。ここであれば一日でコーヒー農園とカカオ農園の両方を見学する事が出来ます(農園までたどり着く道幅の都合で一度にご案内出来るのは数名限定)新たな発見、素晴らしい体験をさせて頂きました。
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